大腸癌大動脈周囲リンパ節転移に対する外科的治療についての検討
目的 : 大腸癌大動脈リンパ節(216LN)転移は遠隔転移の扱いであり通常化学療法の対象となるが,外科的切除により長期予後が得られることがある.そこで当科で216LN転移巣に対して大動脈周囲の系統的郭清を行った症例を検討し手術適応について考察した.対象 : 当科で経験した大腸癌症例580例中(2003年12月-2010年3月),他臓器遠隔転移がなく216LNを系統郭清した9例.男:女=4:5,平均年齢63歳,原発巣は横行結腸2例,S状結腸3例,直腸4例.結果 : 216LN転移は,再発6例(初回手術時Stage II:1例,IIIa:1例,IIIb:4例),同時性(Stage IV)3例であっ...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 9; pp. 1097 - 1104 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.09.2011
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Summary: | 目的 : 大腸癌大動脈リンパ節(216LN)転移は遠隔転移の扱いであり通常化学療法の対象となるが,外科的切除により長期予後が得られることがある.そこで当科で216LN転移巣に対して大動脈周囲の系統的郭清を行った症例を検討し手術適応について考察した.対象 : 当科で経験した大腸癌症例580例中(2003年12月-2010年3月),他臓器遠隔転移がなく216LNを系統郭清した9例.男:女=4:5,平均年齢63歳,原発巣は横行結腸2例,S状結腸3例,直腸4例.結果 : 216LN転移は,再発6例(初回手術時Stage II:1例,IIIa:1例,IIIb:4例),同時性(Stage IV)3例であった.StageIV症例のうち2例は原発巣との同時切除,1例は原発巣切除後1年間化学療法を行ったのち216LN郭清を施行した.216LN郭清後の2年生存率は64%で(異時的郭清例:85%,同時郭清例:0%),最長生存期間は6年9か月であった.生存6例(全例無再発),死亡3例であったが,両者に年齢・性別・原発巣占居部位・組織型の差はなく,相違点として216LN切除を原発巣と異時的に施行した症例の予後が有意に良好であったことがあげられた(p=0.035).結論 : 大腸癌術後に216LNのみに再発し,また原発巣とは異時的に郭清術を施行した症例は良好な長期予後が得られ,積極的な外科的治療の対象と思われた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.44.1097 |