CTにて術前診断し得たAmyand's herniaの1例

症例は54歳の男性で,幼少期に右鼠径ヘルニアに対する修復術を施行されていた.2009年3月に右鼠径部の膨隆を自覚し疼痛が増強したため前医を受診した.再発右鼠径ヘルニア嵌頓の疑いで精査加療目的に当科紹介となった.来院時,右鼠径部に皮膚の発赤と圧痛を伴う鶏卵大の膨隆を認めた.ヘルニア嵌頓と診断して用手還納を試みるも還納できず,術前精査の目的で腹部CTを行ったところ右鼠径ヘルニア嚢内部に回盲部から連続する管状構造物の脱出が確認された.以上より,ヘルニア内容が虫垂であるAmyand's herniaと診断し同日緊急手術を施行した.虫垂切除術とIliopublic tract repairによ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 8; pp. 1070 - 1078
Main Authors 中島, 紳太郎, 柏木, 秀幸, 小菅, 誠, 小川, 匡市, 大熊, 誠尚, 矢永, 勝彦, 衛藤, 謙, 羽田, 丈紀, 榎本, 浩也, 小林, 徹也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.08.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.1070

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Summary:症例は54歳の男性で,幼少期に右鼠径ヘルニアに対する修復術を施行されていた.2009年3月に右鼠径部の膨隆を自覚し疼痛が増強したため前医を受診した.再発右鼠径ヘルニア嵌頓の疑いで精査加療目的に当科紹介となった.来院時,右鼠径部に皮膚の発赤と圧痛を伴う鶏卵大の膨隆を認めた.ヘルニア嵌頓と診断して用手還納を試みるも還納できず,術前精査の目的で腹部CTを行ったところ右鼠径ヘルニア嚢内部に回盲部から連続する管状構造物の脱出が確認された.以上より,ヘルニア内容が虫垂であるAmyand's herniaと診断し同日緊急手術を施行した.虫垂切除術とIliopublic tract repairによるヘルニア修復を行い,第6病日に退院となった.鼠径ヘルニア内容が虫垂であるAmyand's herniaはまれであり,術前に診断されることは少ないとされている.今回,我々は腸閉塞症状を認めない鼠径ヘルニア嵌頓に対し術前骨盤部CTによりAmyand's herniaと診断しえた症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.1070