Pharmacokinetics/pharmacodynamics parameter算出プログラムの開発と, MIC値を活用した新しい感染症治療ガイドライン作成の試み 特にtime above the MICによって評価される抗菌薬を対象に

β-ラクタム剤等の時間依存型抗菌薬では, 投与された抗菌薬の血液中濃度が菌のMICをどれくらいの時間上回るか (Timeabove MIC%, 以下TAM) で有効性が決定される。この理論に基づき簡易にTAMを算出するプログラムを作成し, MICブレークポイントを導き出した。β-ラクタム剤を健常成人に投与したときのpharmacokinetics parameterを用い, 8時間の投与間隔を想定してTAMが40%以上を抗菌薬の有効域として求めたMICブレークポイントと, 日本化学療法学会が設定した肺炎のブレークポイントとを比較した結果, ほとんどの薬剤で±1MIC以内で一致した。一方, NC...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 56; no. 6; pp. 697 - 704
Main Authors 相原, 雅典, 福田, 砂織, 長坂, 陽子, 島川, 宏一, 岩崎, 瑞穂, 中村, 彰宏, 小松, 方, 松尾, 収二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 25.12.2003
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ISSN0368-2781
2186-5477
DOI10.11553/antibiotics1968b.56.697

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Summary:β-ラクタム剤等の時間依存型抗菌薬では, 投与された抗菌薬の血液中濃度が菌のMICをどれくらいの時間上回るか (Timeabove MIC%, 以下TAM) で有効性が決定される。この理論に基づき簡易にTAMを算出するプログラムを作成し, MICブレークポイントを導き出した。β-ラクタム剤を健常成人に投与したときのpharmacokinetics parameterを用い, 8時間の投与間隔を想定してTAMが40%以上を抗菌薬の有効域として求めたMICブレークポイントと, 日本化学療法学会が設定した肺炎のブレークポイントとを比較した結果, ほとんどの薬剤で±1MIC以内で一致した。一方, NCCLSブレークポイントとの比較では, 1日3回投与した場合, 著者らが算出したMICブレークポイントの方が, ampicillin (1g, 静注), piperacillin (2g, 静注), cefotaxime (1g, 静注) およびcefrnetazole (1g, 静注) では2管, amoxicillin (0.25g, 内服) およびcefaclor (0.5g, 内服) では3~4管低く算出された。今後, このようなシステムが感染症検査室に導入され, わが国の用法用量に適合したMICブレークポイントが検査室から医師に伝えられるとすれば, これまで用いられてきた感染菌のMIC値に偏重した抗菌薬選択から, 抗菌薬のpharmacokineticsとpharmacodynamicsを絡めた適正な投与スケジュールが提案できると考えられた。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.56.697