拮抗筋の電気刺激による遠心性収縮を伴う筋力増強法 長期間の電気刺激による刺激強度と筋出力の変化

我々は関節運動中に拮抗筋を電気刺激する事により得られる筋収縮を主動筋の抵抗として利用する筋力増強法を考案した。この筋力増強法は従来の錘やバネなどの外部抵抗に代わり,自身の電気刺激による拮抗筋力を運動抵抗と捉えたものである。この方法を用いる事により,主動筋は随意性の求心性収縮を起こし,拮抗筋は電気刺激を受けながら遠心性収縮起こすため双方が同時に収縮する。今回,長期間の電気刺激を行う事で下肢の刺激強度がどのように変化するか,それにより得られる筋出力がどのように変化するか検討した。対象は健常男性7名(14肢)とし,左右の大腿四頭筋(大腿直筋と内側広筋,外側広筋各1極)とハムストリングス(内側ハムスト...

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Published in理学療法学 Vol. 29; no. 6; pp. 171 - 177
Main Authors 岩佐, 聖彦, 前田, 貴司, 広田, 桂介, 岩崎, 敏展, 柳, 東次郎, 梅津, 祐一, 志波, 直人, 松尾, 重明, 田川, 善彦, 山本, 敏泰, Basford, Jeffrey R.
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 2002
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Summary:我々は関節運動中に拮抗筋を電気刺激する事により得られる筋収縮を主動筋の抵抗として利用する筋力増強法を考案した。この筋力増強法は従来の錘やバネなどの外部抵抗に代わり,自身の電気刺激による拮抗筋力を運動抵抗と捉えたものである。この方法を用いる事により,主動筋は随意性の求心性収縮を起こし,拮抗筋は電気刺激を受けながら遠心性収縮起こすため双方が同時に収縮する。今回,長期間の電気刺激を行う事で下肢の刺激強度がどのように変化するか,それにより得られる筋出力がどのように変化するか検討した。対象は健常男性7名(14肢)とし,左右の大腿四頭筋(大腿直筋と内側広筋,外側広筋各1極)とハムストリングス(内側ハムストリング,外側ハムストリングへ各1極)に対して電気刺激を行った。刺激条件は搬送周波数5,000Hz,刺激周波数20Hz,刺激強度は最大耐用電圧とし6週間電気刺激を行った。その時の閾値,最大耐用電圧,電流を計測,また最大耐用電圧にて得られる筋出力を刺激開始前,刺激開始3週経過後,刺激終了時,刺激終了4週経過後に計測し比較した。結果として4極とも刺激期間とともに刺激強度は増加した(p<0.05)。これにより得られる筋出力では,大腿四頭筋は増加した(p<0.05)がハムストリングスは増加しなかった。また,求心性収縮と遠心性収縮の比較では遠心性収縮が30〜50%高い値を示した(p<0.001)。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00001019625