直腸原発節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型の1例

患者は78歳の女性で,発熱と下血を主訴に受診した.入院時現症は,体温38.5℃,腹部は平坦軟で腫瘤を触知せず,体表リンパ節に腫脹を認めなかった.直腸診にて肛門より4cmの直腸壁に不整な隆起性病変を触知し,著明な血便を認めた.検査所見では可溶性Interleukin 2(IL-2)レセプターが1,910U/mlと上昇していた.CTにて直腸壁の肥厚を認め,下部消化管内視鏡で,肛門より約4cmの部位に3/4周性の2型隆起性病変を認めた.術前組織生検では悪性腫瘍と診断したが確定診断には至らなかった.腹会陰式直腸切断術を行った.免疫染色にてCD3陽性,CD56陰性,EBER陽性,TIA-1陽性であり,他...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 9; pp. 1205 - 1211
Main Authors 今井, 裕, 藤井, 武宏, 須崎, 真, 野口, 孝, 加藤, 宏之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.1205

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Summary:患者は78歳の女性で,発熱と下血を主訴に受診した.入院時現症は,体温38.5℃,腹部は平坦軟で腫瘤を触知せず,体表リンパ節に腫脹を認めなかった.直腸診にて肛門より4cmの直腸壁に不整な隆起性病変を触知し,著明な血便を認めた.検査所見では可溶性Interleukin 2(IL-2)レセプターが1,910U/mlと上昇していた.CTにて直腸壁の肥厚を認め,下部消化管内視鏡で,肛門より約4cmの部位に3/4周性の2型隆起性病変を認めた.術前組織生検では悪性腫瘍と診断したが確定診断には至らなかった.腹会陰式直腸切断術を行った.免疫染色にてCD3陽性,CD56陰性,EBER陽性,TIA-1陽性であり,他領域に病変を認めないことから,直腸原発節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型と診断した.術後に他院に転院して化学療法を施行したが,術後約11か月目にDICを発症し死亡した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.1205