閉鎖孔ヘルニアにおける嵌頓整復法の検討

閉鎖孔ヘルニア嵌頓の治療は整復時に腸管が穿孔することがあるため,嵌頓腸管を愛護的に整復することが重要である.従来行ってきた腸管の牽引による牽引法,チューブをヘルニア腔へ挿入して水圧により整復する水圧法,大腿動静脈内側皮下より用手的にヘルニア嚢を圧迫して還納する用手圧迫法について検討した.CTまたはMRIにより閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断し整復を行った32例の自験例を対象とした.年齢73~106歳,男女比2:30.開腹時の自然整復5例,牽引法13例,水圧法5例,用手圧迫法9例(観血法5例,非観血法4例).観血的用手整復法の群で術前より穿孔を伴う症例を1例認めた.整復時の穿孔は牽引法5/13例,水圧法...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 9; pp. 1212 - 1218
Main Authors 鈴木, 秀昭, 太平, 周作, 田中, 征洋, 林, 英司, 鈴木, 俊裕, 井上, 昌也, 久保田, 仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.1212

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Summary:閉鎖孔ヘルニア嵌頓の治療は整復時に腸管が穿孔することがあるため,嵌頓腸管を愛護的に整復することが重要である.従来行ってきた腸管の牽引による牽引法,チューブをヘルニア腔へ挿入して水圧により整復する水圧法,大腿動静脈内側皮下より用手的にヘルニア嚢を圧迫して還納する用手圧迫法について検討した.CTまたはMRIにより閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断し整復を行った32例の自験例を対象とした.年齢73~106歳,男女比2:30.開腹時の自然整復5例,牽引法13例,水圧法5例,用手圧迫法9例(観血法5例,非観血法4例).観血的用手整復法の群で術前より穿孔を伴う症例を1例認めた.整復時の穿孔は牽引法5/13例,水圧法1/5例,用手圧迫法0/8例であった.牽引法・水圧法の穿孔例で1例ずつ死亡例を認めた.閉鎖孔ヘルニア嵌頓に対する治療において,術野を汚染しない愛護的な整復法を考慮すべきと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.1212