体内干渉の解消と拡大視野の保持を実現した単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術における新しい術式

単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術に特有の干渉は,術野の保持や繊細な操作を妨げ,安全性や術者ストレスに多大な影響を与えている.我々は,体内干渉を解消し,拡大視野を保持したまま,繊細な操作が行える術式を開発した.本手術の干渉は,近接したポートから3つの器具(切離デバイスと把持鉗子と腹腔鏡)がそれぞれ動くことに起因する.しかし切離デバイスと腹腔鏡を平行に一緒に動かすことで,疑似的に2つの器具で行う手術となる.術者が腹腔鏡と切離デバイスを並べて同時に動かし,助手が屈曲鉗子を術者と重ならないように用いることで,本手術における体内干渉は解消した.2009年12月から2010年8月までに41症例に対し本術式を行い,...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 1; pp. 123 - 129
Main Authors 笠, 普一朗, 西中, 秀和, 山田, 大輔, 藤野, 稔, 佐田, 政史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.01.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.123

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Summary:単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術に特有の干渉は,術野の保持や繊細な操作を妨げ,安全性や術者ストレスに多大な影響を与えている.我々は,体内干渉を解消し,拡大視野を保持したまま,繊細な操作が行える術式を開発した.本手術の干渉は,近接したポートから3つの器具(切離デバイスと把持鉗子と腹腔鏡)がそれぞれ動くことに起因する.しかし切離デバイスと腹腔鏡を平行に一緒に動かすことで,疑似的に2つの器具で行う手術となる.術者が腹腔鏡と切離デバイスを並べて同時に動かし,助手が屈曲鉗子を術者と重ならないように用いることで,本手術における体内干渉は解消した.2009年12月から2010年8月までに41症例に対し本術式を行い,37例(90.2%)で完遂した.平均手術時間106分,平均出血量2.1mlであった.本術式によって,安全性の向上と術者ストレスの軽減がもたらされた.また本術式は,導入や適応拡大にも貢献できると考える.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.123