変形性膝関節症に対する低周波鍼通電療法の効果 (第1報)

整形外科学的には, 変形性膝関節症(以下膝OA)に対する治療法はその進行度に応じて選択される. 進行度の判定は主にX線学的に行われ, その結果, 初期例では保存療法を中心に, 重症例では手術療法が適応となる. 鍼灸治療のOAに対する有効性は, ALBERT. c1)らによる二重盲検的研究によれば患者の圧痛, 痛み及び活動性は改善されたが, 対照群との間に有意な差はみられなかったと述べ, また, 中尾2)による文献的考察によると有効率は3~6割とばらついており, その原因は合併症の有無やOAの進行度の違いによると述べている. 本症患者に対して, 東西医学を問わず, 最も適した治療方法を選択すると...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 54; no. 3; pp. 155 - 160
Main Authors 吉川, 恵士, 松多, 邦雄, 山口, 真二郎, 宮本, 俊和, 淺井, 克晏, 磯部, 八郎, 坂井, 友実, 長尾, 栄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 1991
日本温泉気候物理医学会
Subjects
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ISSN0029-0343
1884-3697
DOI10.11390/onki1962.54.155

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Summary:整形外科学的には, 変形性膝関節症(以下膝OA)に対する治療法はその進行度に応じて選択される. 進行度の判定は主にX線学的に行われ, その結果, 初期例では保存療法を中心に, 重症例では手術療法が適応となる. 鍼灸治療のOAに対する有効性は, ALBERT. c1)らによる二重盲検的研究によれば患者の圧痛, 痛み及び活動性は改善されたが, 対照群との間に有意な差はみられなかったと述べ, また, 中尾2)による文献的考察によると有効率は3~6割とばらついており, その原因は合併症の有無やOAの進行度の違いによると述べている. 本症患者に対して, 東西医学を問わず, 最も適した治療方法を選択するという立場に立った時, 鍼治療を他の保存療法と比較した場合の利点や適応, またどのくらいの期間治療を必要とするかなど, その役割は明確でない. また, X線学的分類がそのまま鍼灸療法に当てはまるか不明であるため, 鍼灸療法の目的に応じた所見の捉え方, 治療技術の用法を確立させなければならない.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.54.155