前歯部ガイドの変化が顆頭運動と外側翼突筋下頭筋活動に及ぼす影響について

「I.緒言」外側翼突筋下頭(Lpt)は, 顆頭に直接付着し顆頭の前方, 側方移動に深く関与しており, 特に下顎前方滑走運動の際に, 筋活動が大きくなることが知られている1~5). 実際の下顎前方滑走運動は, 下顎前歯部切縁と上顎前歯部舌側面との接触滑走によって生じ, この両者の関係, すなわち前歯部ガイドの状態が変化することにより, 顆頭運動やLptの筋活動に変化が生じることが予想される. 前歯部ガイドの補綴的有用性については, 多くの学者が報告している6~12). 河野ら6)は, 正常者の矢状顆路角と矢状切歯路角を測定した結果, 臨床的に正常な咬合を持ち正常な機能を営むものにおいては, 矢状...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 42; no. 4; pp. 680 - 685
Main Authors 杉原, 真一郎, 内田, 愼爾, 川西, 敏雄, 竜門, 宏, 井上, 宏, 前田, 照太, 青木, 誠喜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 10.08.1998
日本補綴歯科学会
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.42.680

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Summary:「I.緒言」外側翼突筋下頭(Lpt)は, 顆頭に直接付着し顆頭の前方, 側方移動に深く関与しており, 特に下顎前方滑走運動の際に, 筋活動が大きくなることが知られている1~5). 実際の下顎前方滑走運動は, 下顎前歯部切縁と上顎前歯部舌側面との接触滑走によって生じ, この両者の関係, すなわち前歯部ガイドの状態が変化することにより, 顆頭運動やLptの筋活動に変化が生じることが予想される. 前歯部ガイドの補綴的有用性については, 多くの学者が報告している6~12). 河野ら6)は, 正常者の矢状顆路角と矢状切歯路角を測定した結果, 臨床的に正常な咬合を持ち正常な機能を営むものにおいては, 矢状顆路角より緩傾斜角度を示す矢状切歯路角はほとんど存在しておらず, 矢状切歯路角は矢状顆路角と等角度か, それより急傾斜を示すことが原則であると報告している. また, 矢状切歯路角が矢状顆路角よりも緩傾斜であるならば, 下顎が切端咬合位から咬頭嵌合位に閉口するときに, 顆頭が下顎の運動方向と逆の開口方向に回転し, 顎機能異常を誘起する可能性が高いことを示唆している.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.42.680