小児喉頭異物における診断の遅れ 症例報告と文献的考察

私たちは突然のクループ症状で発症したが, 治療抵抗性であったために精査したところ, シールによる喉頭異物であった症例を経験した. 喉頭異物では, 文献的にも診断が遅延しやすいことがわかった. その理由のひとつは, 異物の種類として, 薄い板状あるいは針状の物が多いことではないかと考えられた. 非典型的なクループでは, 必ず喉頭異物も疑い, とくに異物の形状を考慮した現病歴の聴取を行うことが重要である. 「喉頭の内腔はもともと狭いため, もしそこに異物が嵌入すれば, すぐに明らかな気道閉塞症状が出現するだろうから, 喉頭異物は早期に診断されるはずだ」という感覚は, おそらく誰もが持っているものと...

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Published in日本小児呼吸器疾患学会雑誌 Vol. 16; no. 2; pp. 125 - 128
Main Authors 川崎, 一輝, 菊池, 信太郎, 宮川, 知士, 遠藤, 美紀, 肥沼, 悟郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児呼吸器疾患学会 20.12.2005
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ISSN0918-3876
2185-3754
DOI10.5701/jjpp.16.125

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Summary:私たちは突然のクループ症状で発症したが, 治療抵抗性であったために精査したところ, シールによる喉頭異物であった症例を経験した. 喉頭異物では, 文献的にも診断が遅延しやすいことがわかった. その理由のひとつは, 異物の種類として, 薄い板状あるいは針状の物が多いことではないかと考えられた. 非典型的なクループでは, 必ず喉頭異物も疑い, とくに異物の形状を考慮した現病歴の聴取を行うことが重要である. 「喉頭の内腔はもともと狭いため, もしそこに異物が嵌入すれば, すぐに明らかな気道閉塞症状が出現するだろうから, 喉頭異物は早期に診断されるはずだ」という感覚は, おそらく誰もが持っているものと思われる. しかし, 実際に喉頭異物について調べてみると, 診断までに1か月以上経過している症例が少なくないことがわかった. 診断が遅延しやすいのは何故か. その理由を今回当科で経験した1例を通して考えてみた. 症例 症例:8か月, 女児 主訴:吸気性喘鳴 既往歴:とくに問題なし. 現病歴:3日前から軽度の鼻汁と咳嗽があり, 近医で治療されていた.
ISSN:0918-3876
2185-3754
DOI:10.5701/jjpp.16.125