水環境における現場計測のための省電力・無電力送液技術

本研究は,海洋やその他の水環境の現場で使用可能な小型・省電力な現場型の化学・生化学分析装置の実現に向け,特に省電力・無電力送液技術の確立を目的としている.著者らはこの省電力・無電力送液技術を,電力供給や装置サイズに制限がある環境に対応可能な次世代の現場分析装置の実現に不可欠な鍵技術と位置づけている.具体的には,バルーンの収縮力,環境水圧,浸透圧を用いた無電力送液技術,電気浸透流を応用した流体制御技術について,実験室環境での試験に加え,実際の海洋環境においてもその実用性を評価・検討してきた.本稿では,これらの送液技術に関する著者らの研究開発の進展について具体例と共に紹介し,マクロスケールの現場分...

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Published in分析化学 Vol. 74; no. 6; pp. 265 - 272
Main Author 福場 辰洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.06.2025
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Summary:本研究は,海洋やその他の水環境の現場で使用可能な小型・省電力な現場型の化学・生化学分析装置の実現に向け,特に省電力・無電力送液技術の確立を目的としている.著者らはこの省電力・無電力送液技術を,電力供給や装置サイズに制限がある環境に対応可能な次世代の現場分析装置の実現に不可欠な鍵技術と位置づけている.具体的には,バルーンの収縮力,環境水圧,浸透圧を用いた無電力送液技術,電気浸透流を応用した流体制御技術について,実験室環境での試験に加え,実際の海洋環境においてもその実用性を評価・検討してきた.本稿では,これらの送液技術に関する著者らの研究開発の進展について具体例と共に紹介し,マクロスケールの現場分析からミクロスケールの水環境におけるバイオ分析まで,時空間スケールを横断した分析技術の実現に向けた展望を紹介する.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.74.265