島嶼における移住定住の変遷と 集住空間の構成に関する研究 台湾金門島・小金門島の伝統的集落を事例として

本研究は、台湾金門島に現存する伝統的集落の移住経緯と空間特性を明らかにすることを目的とする。これまで個別に捉えられてきた全143の伝統的集落の立地環境、歴史的建築物の種類と残存数、集落規模、建物棟数、方位軸、抱護の種類と空間範囲、居住者の主要姓氏、移住前後の居住地をまとめ、集落空間を類型化した。その結果、立地環境を平地から山裾、斜面地までの10類型、自然地形と植生による抱護の種類を9つに分類した。さらに集落を構成する建物棟数から空間規模を小・中・大に設定し、歴史的建築物の残存数と合わせて、各集落の現状を明らかにした。また、居住者の主要姓氏から単姓村76、複姓村67が確認された。文献資料とヒアリ...

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Published in芸術工学会誌 Vol. 86; pp. 22 - 29
Main Author 長野, 真紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 芸術工学会 2023
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Summary:本研究は、台湾金門島に現存する伝統的集落の移住経緯と空間特性を明らかにすることを目的とする。これまで個別に捉えられてきた全143の伝統的集落の立地環境、歴史的建築物の種類と残存数、集落規模、建物棟数、方位軸、抱護の種類と空間範囲、居住者の主要姓氏、移住前後の居住地をまとめ、集落空間を類型化した。その結果、立地環境を平地から山裾、斜面地までの10類型、自然地形と植生による抱護の種類を9つに分類した。さらに集落を構成する建物棟数から空間規模を小・中・大に設定し、歴史的建築物の残存数と合わせて、各集落の現状を明らかにした。また、居住者の主要姓氏から単姓村76、複姓村67が確認された。文献資料とヒアリング調査に基づいて長期間にわたる移動前後の居住地とその変遷を追い、現地調査により居住地の環境を理解することで、集落の移住形態を5つの型(移住群:拠点型Ⅰ、Ⅱ、転移型、定住群:発展型、安定型)に分類した。これらの結果から、周囲を海に囲まれた島嶼の環境と歴史的な居住地の移動によって構築された集落の空間特性を明らかにした。
ISSN:1342-3061
2433-281X
DOI:10.24520/designresearch.86.0_22