顎関節症診断における顎関節疼痛誘発テストの妥当性

目的: この研究では, 顎関節症患者に顎関節疼痛誘発テストを応用し, その反応を臨床診査時の疼痛所見および関節円板の状態と比較した. 本研究の目的は, このテストの有痛性の円板転位に対する診断精度を明らかにすることである. 方法: 対象は本学補綴科あるいは口腔外科を受診し, 顎関節症と診断された患者で, 本研究の趣旨に賛同の得られた47名である. 患者の上下顎第二大臼歯間にプラスチック棒 (厚さ9mm) を介在して片側性に噛みしめさせ, そのときの誘発痛の有無, その部位を記録した. また, これらの知見を同患者の臨床症状およびMRI所見と比較した. すなわち, すべての顎関節を関節円板の状態...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 45; no. 4; pp. 486 - 493
Main Authors 小川, 匠, 平井, 真也, 福島, 俊士, 重田, 優子, 近藤, 壽郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 10.08.2001
日本補綴歯科学会
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.45.486

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Summary:目的: この研究では, 顎関節症患者に顎関節疼痛誘発テストを応用し, その反応を臨床診査時の疼痛所見および関節円板の状態と比較した. 本研究の目的は, このテストの有痛性の円板転位に対する診断精度を明らかにすることである. 方法: 対象は本学補綴科あるいは口腔外科を受診し, 顎関節症と診断された患者で, 本研究の趣旨に賛同の得られた47名である. 患者の上下顎第二大臼歯間にプラスチック棒 (厚さ9mm) を介在して片側性に噛みしめさせ, そのときの誘発痛の有無, その部位を記録した. また, これらの知見を同患者の臨床症状およびMRI所見と比較した. すなわち, すべての顎関節を関節円板の状態と診査時の顎関節部の疼痛の有無により関節円板転位 (N), 無痛性の円板転位 (NP-Dis), 有痛性の円板転位 (PDis) の3群に分類し, 誘発痛との関連性について検討した. 結果: 顎関節疼痛誘発テストによる非噛みしめ側の疼痛は主に顎関節部にみられ, その多くで当該関節に有痛性の円板転位がみられた. 顎関節疼痛誘発テストの有痛性の円板転位症例に対する診断精度は有効度83%, 感度71%, 特異度89%, 陽性反応適中率76%, 陰性反応適中率86%であった. 結論: 顎関節疼痛誘発テストの有痛性の円板転位に対する診断精度は高く, 臨床的に有用であることが示唆された.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.45.486