前立腺癌治療薬 FLUTAMIDE の体内動態(第4報): ラットにおける胆汁排泄,腸肝循環,消化管吸収,代謝および肝薬物代謝酵素系への影響

我々は,ラットに 14C-Flutamide を単回経口投与したときの胆汁排泄,腸管循環,消化管吸収,ならびに代謝および酵素誘導について検討した. 1.ラットに 14C-Flutamide を単回経口投与したとき,48時間後には胆汁に26.3%,尿に65.3%および糞に1.1%の排泄が認められ,主排泄経路は尿であった. 2.ラットに 14C-Flutamide を単回経口投与し,24時間までに排泄された胆汁を別のラットの十二指腸内に投与した時,投与された放射能の 39.3% が再び胆汁中に,また,44.5% が尿中に排泄されたことから,腸管循環が認められた. 3.消化管を胃,十二指腸,小腸(上...

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Published in薬物動態 Vol. 10; no. 4; pp. 470 - 483
Main Authors 橋本, 豊, 浅川, 紀子, 山下, 幸和, 小山, 道則
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本薬物動態学会 1995
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ISSN0916-1139
DOI10.2133/dmpk.10.470

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Summary:我々は,ラットに 14C-Flutamide を単回経口投与したときの胆汁排泄,腸管循環,消化管吸収,ならびに代謝および酵素誘導について検討した. 1.ラットに 14C-Flutamide を単回経口投与したとき,48時間後には胆汁に26.3%,尿に65.3%および糞に1.1%の排泄が認められ,主排泄経路は尿であった. 2.ラットに 14C-Flutamide を単回経口投与し,24時間までに排泄された胆汁を別のラットの十二指腸内に投与した時,投与された放射能の 39.3% が再び胆汁中に,また,44.5% が尿中に排泄されたことから,腸管循環が認められた. 3.消化管を胃,十二指腸,小腸(上部,中部,下部),盲腸に分けて結紮し,14C-Flutamideを注入したときの吸収率を調べた.Flutamide は小腸全域から盲腸にかけて良く吸収され,速やかに門脈血へ移行すると考えられた.また,胃からの吸収は,分布実験8)において,残留が認められないことから,比較的緩やかなものと推察された.4、尿中の主代謝物は FLU-3 の硫酸抱合体であった. 5.胆汁中の主代謝物は OH-Flutamide のグルクロン酸抱合体および代謝物 M-1 であった. 6.Flutamide を反復投与し,酵素誘導について調べたところ,対照群と有意差は認められず,肝薬物代謝酵素への影響は認められなかった.
ISSN:0916-1139
DOI:10.2133/dmpk.10.470