咬合感覚異常患者の口腔運動感覚能力

目的: 歯科を受診する患者のなかには, 少なからず咬合の不安定感や不快感を訴える患者がいる. これらの患者のなかには, 臨床検査において咬合按触関係に異常が認められないにもかかわらず, 咬合の異常感のために日常生活に支障をきたす患者も認められる. このような状態は「咬合感覚異常」と総称されているが, 本態が不明なため, その診断および治療法は確立されていない. 本研究の目的は, 咬合感覚異常患者の口腔運動感覚能力を正常者と比較検討することである. 方法: 咬合感覚異常患者8名および正常者31名において, アルミ箔を用いた厚み識別試験 (フォイルテスト), プラスチックブロック棒を用いた厚み識別...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 49; no. 4; pp. 599 - 607
Main Authors 大山, 喬史, 馬場, 一美, 羽毛田, 匡, 木野, 孔司, 有留, 久美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 10.08.2005
日本補綴歯科学会
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.49.599

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Summary:目的: 歯科を受診する患者のなかには, 少なからず咬合の不安定感や不快感を訴える患者がいる. これらの患者のなかには, 臨床検査において咬合按触関係に異常が認められないにもかかわらず, 咬合の異常感のために日常生活に支障をきたす患者も認められる. このような状態は「咬合感覚異常」と総称されているが, 本態が不明なため, その診断および治療法は確立されていない. 本研究の目的は, 咬合感覚異常患者の口腔運動感覚能力を正常者と比較検討することである. 方法: 咬合感覚異常患者8名および正常者31名において, アルミ箔を用いた厚み識別試験 (フォイルテスト), プラスチックブロック棒を用いた厚み識別試験 (スティックテスト), 下顎位再現性試験 (開口量再現テスト) の3種類の口腔運動感覚能力試験を行った. 両群間の口腔運動感覚能力をMann-Whitney U test (有意水準0.05) にて比較検討した. 結果: フォイルテストによる識別能は, 健常者群で中央値14μm (平均15.31μm), 患者群で8μm (平均12.86μm) であった. スティックテストでは, 両群とも平均±1mm以内の識別能を示し, 下顎位再現性テストでは, 両群とも平均約10%の誤差で規定された開口量を再現することができた. いずれのテストにおいても, 2群間に有意差は認められなかった. 結論: 本研究で対象とした被験者においては, 口腔運動感覚能力は咬合感覚異常患者と正常者間で差があるとはいえず, 咬合感覚異常と口腔運動感覚能力の異常の関連性は確認されなかった.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.49.599