外科的矯正治療前後における前歯部開咬症例の口唇, 頬, 舌圧の変化

「緒言」歯列弓の形態や歯の位置は, その個人の持つ遺伝的要因の他に口唇, 舌, 頬, 咀嚼筋などの影響も受けると考えられている1-5). 外科的矯正治療により咬合を改善する際に歯列や個々の歯の安定が図れるような圧平衡の環境を獲得できるよう治療方針を立案するが, 時として予期せぬ後戻りを経験することもある6). 外科的矯正治療が必要な患者の形態学的解析は解剖学的方法7, 8), X線を利用した方法9-16)などにより多く行われているが機能的な面, なかでも口腔周囲軟組織の運動様相に関しては測定システムが煩雑であるため十分な研究がなされていないのが実状である. 特に前歯部の開咬を示す患者では正常咬...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 12; no. 2; pp. 47 - 60
Main Authors 河内, 満彦, 冨塚, 亮, 三谷, 英夫, 川村, 仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 15.08.2002
日本顎変形症学会
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.12.47

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Summary:「緒言」歯列弓の形態や歯の位置は, その個人の持つ遺伝的要因の他に口唇, 舌, 頬, 咀嚼筋などの影響も受けると考えられている1-5). 外科的矯正治療により咬合を改善する際に歯列や個々の歯の安定が図れるような圧平衡の環境を獲得できるよう治療方針を立案するが, 時として予期せぬ後戻りを経験することもある6). 外科的矯正治療が必要な患者の形態学的解析は解剖学的方法7, 8), X線を利用した方法9-16)などにより多く行われているが機能的な面, なかでも口腔周囲軟組織の運動様相に関しては測定システムが煩雑であるため十分な研究がなされていないのが実状である. 特に前歯部の開咬を示す患者では正常咬合者と異なった特殊な舌の機能運動が認められる場合が多く16, 17), それが不正咬合の発現や術後の後戻りの原因となっている可能性があることは指摘されている18)が, 外科的矯正治療に伴う環境の変化に対する口腔周囲軟組織の変化に関して口腔周囲の軟組織圧を解像度の高い検査装置により一過性の最大圧力だけでなく, 機能時の圧力を含めて調査した研究は少ない19-29).
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.12.47