化学療法後の瘢痕狭窄に手術を施行し寛解状態と診断した回腸濾胞性リンパ腫の1例

化学療法後の瘢痕狭窄に対し手術を施行し寛解状態と診断された回腸濾胞性リンパ腫の症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は55歳の男性で,腹痛,腹満を認め,イレウスの診断で入院となった.CTで右側骨盤内に腸管壁が全周性に肥厚した小腸を認めた.小腸内視鏡検査では回腸に全周性の隆起性病変を認め,生検で濾胞性リンパ腫と診断した.イレウス症状改善後にR-CHOP療法を6コース施行予定であったが,4コース終了時にイレウスで再入院となった.CTで小腸腫瘍部の壁肥厚は診断時と比較し縮小傾向がみられたが,小腸内視鏡検査では同部位に狭窄を認めた.狭窄症状が改善しなかったため,小腸部分切除術を施行し...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 7; pp. 890 - 897
Main Authors 冨木, 裕一, 田中, 真伸, 坂本, 一博, 高橋, 玄, 丹羽, 浩一郎, 杉本, 起一, 小島, 豊, 秦, 政輝, 五藤, 倫敏, 石山, 隼
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.890

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Summary:化学療法後の瘢痕狭窄に対し手術を施行し寛解状態と診断された回腸濾胞性リンパ腫の症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は55歳の男性で,腹痛,腹満を認め,イレウスの診断で入院となった.CTで右側骨盤内に腸管壁が全周性に肥厚した小腸を認めた.小腸内視鏡検査では回腸に全周性の隆起性病変を認め,生検で濾胞性リンパ腫と診断した.イレウス症状改善後にR-CHOP療法を6コース施行予定であったが,4コース終了時にイレウスで再入院となった.CTで小腸腫瘍部の壁肥厚は診断時と比較し縮小傾向がみられたが,小腸内視鏡検査では同部位に狭窄を認めた.狭窄症状が改善しなかったため,小腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査では明らかなリンパ腫細胞は認められず,寛解状態と診断した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.890