肺多形癌虫垂転移の1例

肺多形癌の虫垂転移の1例を経験したので報告する.症例は59歳の男性で,1年前に左肺多形癌(T2N0M0:stage II)に対し左上葉切除術を施行された.下痢,発熱を主訴に受診した.急性腸炎の診断にて,抗生剤投与による保存的治療を行ったが,症状は改善しなかった.腹部CTにて,骨盤内右側に5cm大の嚢胞状の腫瘤が認められ,虫垂腫瘍の診断で開腹手術を施行した.開腹所見では,回盲部に嚢胞状の虫垂腫瘍が認められ,後腹膜側に穿孔し限局性の膿瘍を形成していた.虫垂の悪性腫瘍が疑われ,D2リンパ節郭清を伴う回盲部切除術を施行した.術後の病理組織学的検査では,肺多形癌組織と酷似した癌細胞が嚢胞壁に認められ,肺...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 2; pp. 186 - 192
Main Authors 田村, 徹郎, 柏木, 孝仁, 蒲池, 綾子, 西中, 秀和, 高松, 祐治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.186

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Summary:肺多形癌の虫垂転移の1例を経験したので報告する.症例は59歳の男性で,1年前に左肺多形癌(T2N0M0:stage II)に対し左上葉切除術を施行された.下痢,発熱を主訴に受診した.急性腸炎の診断にて,抗生剤投与による保存的治療を行ったが,症状は改善しなかった.腹部CTにて,骨盤内右側に5cm大の嚢胞状の腫瘤が認められ,虫垂腫瘍の診断で開腹手術を施行した.開腹所見では,回盲部に嚢胞状の虫垂腫瘍が認められ,後腹膜側に穿孔し限局性の膿瘍を形成していた.虫垂の悪性腫瘍が疑われ,D2リンパ節郭清を伴う回盲部切除術を施行した.術後の病理組織学的検査では,肺多形癌組織と酷似した癌細胞が嚢胞壁に認められ,肺多形癌の虫垂転移と診断された.術後化学療法を行ったが,1年2か月後に腹膜播種で死亡した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.186