術前に診断しえたileosigmoid knotの2症例

急性腹症を来す疾患に腸管結節形成症があり非常にまれとされ,そのうち回腸とS状結腸が結節を形成するものがileosigmoid knot(以下,ISKと略記)である.ISKでは小腸,S状結腸それぞれに通過障害,腸管虚血が生じ自然軽快は望めず,早期手術が必要である.我々はISKの2症例を経験した.症例1はS状結腸根部を回腸が時計方向に回旋し結節を形成するISK IA型であった.小腸切除を必要としたが,術後経過良好であった.症例2はS状結腸が小腸を時計方向に回旋し結節を形成しているISK IIA型であった.S状結腸の高度虚血性変化ありS状結腸切除を行うも,術後,敗血症性ショックにより,術後第1病日に...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 1; pp. 93 - 100
Main Authors 上野, 陽介, 石田, 慎悟, 新島, 奈津子, 多賀, 聡, 秋元, 寿文, 島内, 貴弘, 蒲池, 健一, 矢野, 公一, 衛藤, 英一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.01.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.93

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Summary:急性腹症を来す疾患に腸管結節形成症があり非常にまれとされ,そのうち回腸とS状結腸が結節を形成するものがileosigmoid knot(以下,ISKと略記)である.ISKでは小腸,S状結腸それぞれに通過障害,腸管虚血が生じ自然軽快は望めず,早期手術が必要である.我々はISKの2症例を経験した.症例1はS状結腸根部を回腸が時計方向に回旋し結節を形成するISK IA型であった.小腸切除を必要としたが,術後経過良好であった.症例2はS状結腸が小腸を時計方向に回旋し結節を形成しているISK IIA型であった.S状結腸の高度虚血性変化ありS状結腸切除を行うも,術後,敗血症性ショックにより,術後第1病日に死亡した.ISKは腸閉塞手術の約1%程度のまれな疾患ではあるが,造影CTでのwhirl sign,腸管のdouble closed loopといった特徴的所見を把握することで術前診断が可能であった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.93