漏出性胆汁性腹膜炎の1例
まれな非穿孔性無石性胆嚢炎による漏出性胆汁性腹膜炎の1例を経験したので報告する.症例は75歳の女性で,右側腹部痛にて当院を受診した.術前画像診断および身体所見から胆汁性腹膜炎の診断で,発症早期であることから腹腔鏡下手術を選択した.手術所見では腹腔内に胆汁性腹水貯留を認め,胆嚢は浮腫性炎症を呈し,明らかな穿孔は認めなかった.続いて肝臓,総胆管,上部消化管を確認したが,視野は良好で異常所見は認めなかった.漏出性胆汁性腹膜炎と診断し,引き続いて胆嚢摘出術を行った.病理組織学的検査では粘膜部に壊死部位なく,壁の鬱血性浮腫と漿膜下優位の変性を認め漏出性胆汁性腹膜炎に矛盾しない所見であった.背景には何らか...
Saved in:
Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 2; pp. 152 - 158 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.02.2011
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.44.152 |
Cover
Summary: | まれな非穿孔性無石性胆嚢炎による漏出性胆汁性腹膜炎の1例を経験したので報告する.症例は75歳の女性で,右側腹部痛にて当院を受診した.術前画像診断および身体所見から胆汁性腹膜炎の診断で,発症早期であることから腹腔鏡下手術を選択した.手術所見では腹腔内に胆汁性腹水貯留を認め,胆嚢は浮腫性炎症を呈し,明らかな穿孔は認めなかった.続いて肝臓,総胆管,上部消化管を確認したが,視野は良好で異常所見は認めなかった.漏出性胆汁性腹膜炎と診断し,引き続いて胆嚢摘出術を行った.病理組織学的検査では粘膜部に壊死部位なく,壁の鬱血性浮腫と漿膜下優位の変性を認め漏出性胆汁性腹膜炎に矛盾しない所見であった.背景には何らかの虚血による相対的血流低下から漿膜側優位の変性が生じたと考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.44.152 |