Crohn病に合併した下部直腸肛門管のcolitic cancerに対して肛門温存術を施行した1例

症例は1978年にCrohn病(Crohn's disease;以下,CDと略記)を発症した40歳の女性である.1988年に盲腸からS状結腸にかけての縦走潰瘍とpseudopolyposis,上行結腸の高度狭窄性病変に対して大腸亜全摘,回腸直腸吻合術が施行された.2009年1月に大腸内視鏡検査時の残存直腸粘膜生検でhigh grade dysplasiaが認められたため,残存直腸切除・回腸肛門吻合・予防的回腸ストーマ造設術が施行された.病理診断ではtub1,pSM,pN0,pStage Iと診断された.CDは内科的治療の進歩に伴い長期経過例の増加と同時に癌の合併例も増加していくと考え...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 5; pp. 624 - 631
Main Authors 村田, 暁彦, 袴田, 健一, 木村, 憲央, 小山, 基, 諸橋, 一, 諸橋, 聡子, 坂本, 義之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.624

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Summary:症例は1978年にCrohn病(Crohn's disease;以下,CDと略記)を発症した40歳の女性である.1988年に盲腸からS状結腸にかけての縦走潰瘍とpseudopolyposis,上行結腸の高度狭窄性病変に対して大腸亜全摘,回腸直腸吻合術が施行された.2009年1月に大腸内視鏡検査時の残存直腸粘膜生検でhigh grade dysplasiaが認められたため,残存直腸切除・回腸肛門吻合・予防的回腸ストーマ造設術が施行された.病理診断ではtub1,pSM,pN0,pStage Iと診断された.CDは内科的治療の進歩に伴い長期経過例の増加と同時に癌の合併例も増加していくと考えられる.CD患者の下部直腸肛門管癌は直腸切断術が選択される場合が多いが,本症例ようにdysplasiaや比較的早期の癌を発見することにより肛門温存手術が可能なことからサーベイランスの重要性が再確認された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.624