卵管采が嵌頓した若年者閉鎖孔ヘルニアの1例

症例は29歳の女性で,軽度の右季肋部痛から次第に増強する腹痛を主訴に近医を受診した.38℃台の発熱と血液検査で炎症所見を認めた.腹部CTで右閉鎖孔に嵌頓する嚢胞性腫瘤を認め,右閉鎖孔ヘルニア嵌頓が疑われた.小腸拡張像はなく虫垂および卵巣の位置にも異常は認められなかったため,2日間保存的に経過観察されるも,改善しないため当科紹介入院となった.来院時,腹膜刺激症状を伴っていたため緊急手術を施行した.術中所見において,炎症性に腫大した右卵管采が右閉鎖孔に嵌頓し強固に癒着していた.卵管采を腹腔内に還納し閉鎖孔を縫縮した.卵管采は温存することができ,術後経過は良好であった.若年者閉鎖孔ヘルニアはまれであ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 2; pp. 200 - 204
Main Authors 中ノ子, 智徳, 森田, 勝, 大垣, 吉平, 定永, 倫明, 芝原, 幸太郎, 沖, 英次, 掛地, 吉弘, 前原, 喜彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2011
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Summary:症例は29歳の女性で,軽度の右季肋部痛から次第に増強する腹痛を主訴に近医を受診した.38℃台の発熱と血液検査で炎症所見を認めた.腹部CTで右閉鎖孔に嵌頓する嚢胞性腫瘤を認め,右閉鎖孔ヘルニア嵌頓が疑われた.小腸拡張像はなく虫垂および卵巣の位置にも異常は認められなかったため,2日間保存的に経過観察されるも,改善しないため当科紹介入院となった.来院時,腹膜刺激症状を伴っていたため緊急手術を施行した.術中所見において,炎症性に腫大した右卵管采が右閉鎖孔に嵌頓し強固に癒着していた.卵管采を腹腔内に還納し閉鎖孔を縫縮した.卵管采は温存することができ,術後経過は良好であった.若年者閉鎖孔ヘルニアはまれであり,腹腔鏡による確定診断と治療が有用と考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.200