真性腸石をともなった腸閉塞の1例

症例は79歳の男性で,平成10年腹部膨満感を主訴に他院を受診した.下部消化管内視鏡検査で回腸末端に腸石を認め,内視鏡的に摘出が試みられたが摘出できず経過観察されていた.その後もしばしば腸閉塞をくり返し,平成20年1月腹痛・腹部膨満感を主訴に当院を受診した.CTにて回腸終末部付近に腸石を認め,それより口側の腸管の拡張を認めた.腸石による腸閉塞と診断し,下部消化管内視鏡による摘出を試みたが困難であった.高齢で慢性閉塞性肺疾患を併存していたが,全身麻酔下に4cmの小開腹で回腸切開による腸石摘出術を行った.腸石は1個で,直径40mm主成分はシュウ酸カルシウムで真性腸石であった.術後経過は良好で第16日...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 7; pp. 882 - 889
Main Authors 後藤, 康友, 小山, 明男, 永井, 英雅, 三宅, 秀夫, 小林, 陽一郎, 竹内, 英司, 田畑, 光紀, 村田, 嘉彦, 宮田, 完志, 湯浅, 典博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.882

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Summary:症例は79歳の男性で,平成10年腹部膨満感を主訴に他院を受診した.下部消化管内視鏡検査で回腸末端に腸石を認め,内視鏡的に摘出が試みられたが摘出できず経過観察されていた.その後もしばしば腸閉塞をくり返し,平成20年1月腹痛・腹部膨満感を主訴に当院を受診した.CTにて回腸終末部付近に腸石を認め,それより口側の腸管の拡張を認めた.腸石による腸閉塞と診断し,下部消化管内視鏡による摘出を試みたが困難であった.高齢で慢性閉塞性肺疾患を併存していたが,全身麻酔下に4cmの小開腹で回腸切開による腸石摘出術を行った.腸石は1個で,直径40mm主成分はシュウ酸カルシウムで真性腸石であった.術後経過は良好で第16日目に退院した.真性腸石によるイレウスは保存的治療で軽快するものは少なく,穿孔のリスクもあるので,診断がつき次第治療を行うべきである.自験例では小切開の開腹・腸切開によって低侵襲かつ安全に腸石を摘出しえた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.882