術前診断した小坐骨孔ヘルニアの1例

症例は75歳の女性で,腹部膨満・腹痛・食欲不振にて前医を受診し,イレウスと診断され当院紹介となった.直腸肛門指診では直腸左側壁に壁外性の圧迫による鶏卵大の膨隆を触知した.腹部CT,MRIでは左小坐骨孔から骨盤外への腸管脱出と口側腸管の拡張を認め,坐骨ヘルニア嵌頓と診断し,緊急手術を施行した.開腹所見では回腸末端から約5cmの部位が左小坐骨孔にRichter型に嵌頓しており,用手的に牽引し,嵌頓を解除したが,腸管虚血を認め回盲部切除術を施行した.ヘルニア門は1横指大と小さかったため,周囲結合組織を用いて縫合閉鎖した.坐骨ヘルニアの中でも小坐骨孔ヘルニアは極めてまれであり,文献的考察を加えて報告す...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 4; pp. 504 - 509
Main Authors 武田, 真, 金井, 歳雄, 岡林, 剛史, 中川, 基人, 永瀬, 剛司, 江間, 玲, 松本, 圭五, 浅越, 辰男, 西, 知彦, 小柳, 和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.504

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Summary:症例は75歳の女性で,腹部膨満・腹痛・食欲不振にて前医を受診し,イレウスと診断され当院紹介となった.直腸肛門指診では直腸左側壁に壁外性の圧迫による鶏卵大の膨隆を触知した.腹部CT,MRIでは左小坐骨孔から骨盤外への腸管脱出と口側腸管の拡張を認め,坐骨ヘルニア嵌頓と診断し,緊急手術を施行した.開腹所見では回腸末端から約5cmの部位が左小坐骨孔にRichter型に嵌頓しており,用手的に牽引し,嵌頓を解除したが,腸管虚血を認め回盲部切除術を施行した.ヘルニア門は1横指大と小さかったため,周囲結合組織を用いて縫合閉鎖した.坐骨ヘルニアの中でも小坐骨孔ヘルニアは極めてまれであり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.504