肝門部胆管癌切除後の腹壁再発・腹膜播種に対し再切除後長期生存中の1例

肝門部胆管癌切除後の腹壁再発・腹膜播種に対し,再切除術を行い,その後無再発長期生存している症例を経験したので報告する.症例は65歳の女性で,心窩部不快感を自覚し,門脈左枝浸潤を伴う肝門部胆管癌と診断された.拡大左葉・尾状葉切除+肝外胆管切除術を施行し,術後25日目に軽快退院となった.術後22か月目のCTで,腹壁正中に3cm大の腹壁再発を認めた.その他の臓器には再発を疑う所見を認めず,切除術を行った.腹壁再発の頭側の大網内に2cm大の単発の腹膜播種を認め,同時に切除した.術後11日目に軽快退院となり,外来でTS-1 100mg/日の内服(4投2休)を開始した.定期的に造影CTを行っているが,術後...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 7; pp. 855 - 860
Main Authors 林, 雅太郎, 榎, 忠彦, 原田, 栄二郎, 竹本, 圭宏, 都志見, 貴明, 濱野, 公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.855

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Summary:肝門部胆管癌切除後の腹壁再発・腹膜播種に対し,再切除術を行い,その後無再発長期生存している症例を経験したので報告する.症例は65歳の女性で,心窩部不快感を自覚し,門脈左枝浸潤を伴う肝門部胆管癌と診断された.拡大左葉・尾状葉切除+肝外胆管切除術を施行し,術後25日目に軽快退院となった.術後22か月目のCTで,腹壁正中に3cm大の腹壁再発を認めた.その他の臓器には再発を疑う所見を認めず,切除術を行った.腹壁再発の頭側の大網内に2cm大の単発の腹膜播種を認め,同時に切除した.術後11日目に軽快退院となり,外来でTS-1 100mg/日の内服(4投2休)を開始した.定期的に造影CTを行っているが,術後57か月目の現在,新たな再発巣は認めていない.肝門部胆管癌の再発例は予後不良だが単発の腹壁再発や腹膜播種に関しては,切除術+術後化学療法により長期生存が得られる可能性がある.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.855