合併奇形を有する口唇裂口蓋裂児の臨床統計的観察 最近6年間の症例について
合併奇形をあわせもつ口唇裂口蓋裂児,特に重篤な症例や多発奇形を有するものの適切な管理や治療体系の確立を目的に,最近6年間に新潟大学歯学部附属病院第二口腔外科を受診した一次症例208名のなかで合併奇形をもつ54名について,病態ならびに治療につき臨床統計的に検討し以下の結果を得た. 1.合併奇形をもつものは54名,26.0%であった.裂型別合併率は口蓋裂で高く,唇裂や唇顎裂では低い結果であった.また複数の奇形をもつものが54名中半数を占めていた. 2.合併する他種奇形は,小下顎症,四肢の奇形,心奇形などが多かった. 3.症候群と診断されたものは28名で,Pierre-Robin症候群19名,van...
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Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 17; no. 4; pp. 340 - 355 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
31.10.1992
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Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate1976.17.4_340 |
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Summary: | 合併奇形をあわせもつ口唇裂口蓋裂児,特に重篤な症例や多発奇形を有するものの適切な管理や治療体系の確立を目的に,最近6年間に新潟大学歯学部附属病院第二口腔外科を受診した一次症例208名のなかで合併奇形をもつ54名について,病態ならびに治療につき臨床統計的に検討し以下の結果を得た. 1.合併奇形をもつものは54名,26.0%であった.裂型別合併率は口蓋裂で高く,唇裂や唇顎裂では低い結果であった.また複数の奇形をもつものが54名中半数を占めていた. 2.合併する他種奇形は,小下顎症,四肢の奇形,心奇形などが多かった. 3.症候群と診断されたものは28名で,Pierre-Robin症候群19名,vander Woude症候群2名,cerebrocosto-mandibular症候群,Apert症候群,asplenia症候群,Beckwith-Wiedemann症候群,Cornelia de Lange症候群,Larsen症候群およびclefting/ankyloblepharon症候群が各1名みられた.染色体異常を4名で確認した. 4.他種奇形合併単独群と重複群,さらに軽症と重症に分類したところ,重篤な合併奇形症例は染色体異常児や症候群患児など複数の奇形をもつものが多く,頭蓋の奇形,眼の奇形,小下顎症,四肢の奇形,心奇形などを高率に合併していた.なお,染色体異常を有する4名中2名は乳幼児期までに死亡し,頭蓋の奇形をもつ9名は全例精神発達遅滞を呈した. 5.Hotz床は吸畷障害およびPierre-Robin症候群の吸気性呼吸困難の改善に有効であった. 6.心奇形合併例15名中11名で唇裂または口蓋裂の手術が施行されており死亡例はなかった.手術にあたっては小児科や麻酔科など専門各科との十分な連携のもと,外科的侵襲の少ない術式の選択が行われていた. 7.精神発達遅滞を有するものも,身体的状況が安定していれば積極的に口蓋形成手術を行っていた. |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate1976.17.4_340 |