胃癌術後挙上空腸破裂の1例

症例は83歳の女性で,認知症の既往をもつ進行胃癌にて平成20年11月,胃全摘(後結腸性Roux-en-Y再建)根治術を行った.術後は良好に経過し,食事摂取もスムーズで第19病日に軽快退院した.しかし,外来経過観察中の平成21年1月,腹痛を主訴に救急外来受診.腹部は板状硬,CTでfree airを確認した.消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断にて緊急開腹術を施行した.開腹所見は,食道空腸吻合部と結腸間膜通過部位の間の挙上空腸が管腔円周方向に沿って1/2周ほど断裂し,食残が腹腔内に漏出していた.挙上空腸の結腸間膜通過部位に有意な狭窄は認めなかったため,穿孔部を一期的に縫合した.本例は過食による挙上空...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 3; pp. 246 - 251
Main Authors 和田, 治, 金井, 歳雄, 中川, 基人, 永瀬, 剛司, 本田, 朋, 隈元, 雄介, 今井, 俊, 浅越, 辰男, 星野, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.246

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Summary:症例は83歳の女性で,認知症の既往をもつ進行胃癌にて平成20年11月,胃全摘(後結腸性Roux-en-Y再建)根治術を行った.術後は良好に経過し,食事摂取もスムーズで第19病日に軽快退院した.しかし,外来経過観察中の平成21年1月,腹痛を主訴に救急外来受診.腹部は板状硬,CTでfree airを確認した.消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断にて緊急開腹術を施行した.開腹所見は,食道空腸吻合部と結腸間膜通過部位の間の挙上空腸が管腔円周方向に沿って1/2周ほど断裂し,食残が腹腔内に漏出していた.挙上空腸の結腸間膜通過部位に有意な狭窄は認めなかったため,穿孔部を一期的に縫合した.本例は過食による挙上空腸過伸展に嘔吐反射に起因した急激な内圧上昇が加わって起こった特発性小腸破裂と考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.246