家族性胃限局性若年性ポリポーシスに対し腹腔鏡下胃全摘術を行った1例

症例は46歳の女性で,2005年より家族性胃限局性若年性ポリープ疑いで経過観察されていた.胃ポリープからの出血のため貧血が進行し,計4回内視鏡的ポリープ切除術を行った.出血死の危険があり,胃切除目的で外科入院となった.家族歴では,母親が胃限局性若年性ポリポーシスの診断で経過観察中に胃ポリープからの出血を制御できず死亡している.血液検査でHb 6.6g/dlと著明な貧血を認め,Alb 2.8g/dlと低栄養状態であった.上部消化管内視鏡検査で胃体部から胃前庭部まで発赤調の大小多彩なポリープが多発しており,内科的治療に抵抗性のため腹腔鏡下胃全摘術を行った.術後血液検査で貧血および低蛋白血症の改善が...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 4; pp. 392 - 399
Main Authors 水内, 祐介, 阿部, 祐治, 中野, 徹, 末原, 伸泰, 渡部, 雅人, 光山, 昌珠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.392

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Summary:症例は46歳の女性で,2005年より家族性胃限局性若年性ポリープ疑いで経過観察されていた.胃ポリープからの出血のため貧血が進行し,計4回内視鏡的ポリープ切除術を行った.出血死の危険があり,胃切除目的で外科入院となった.家族歴では,母親が胃限局性若年性ポリポーシスの診断で経過観察中に胃ポリープからの出血を制御できず死亡している.血液検査でHb 6.6g/dlと著明な貧血を認め,Alb 2.8g/dlと低栄養状態であった.上部消化管内視鏡検査で胃体部から胃前庭部まで発赤調の大小多彩なポリープが多発しており,内科的治療に抵抗性のため腹腔鏡下胃全摘術を行った.術後血液検査で貧血および低蛋白血症の改善が確認できた.胃限局性若年性ポリポーシスは若年性ポリポーシスの一亜型であり,病変が胃に限局するまれな疾患である.胃限局性若年性ポリポーシスに対して腹腔鏡下胃全摘術を行った1例を経験したので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.392