腹腔動脈切離膵体尾部切除術における虚血性合併症軽減の試み—術中蛍光血管造影検査とICG負荷試験

脾動脈,総肝動脈に浸潤を認める進行膵体部癌に対して,Indocyanine Green(以下,ICGと略記)を用いた術中蛍光血管造影検査と術中ICG負荷試験を用い,術中リアルタイムに肝血流・胃血流および肝機能を評価し,安全に肝動脈非再建・全胃温存の腹腔動脈切離膵体尾部切除術を施行しえた1例を報告する.症例は59歳の男性で,脾動脈,腹腔動脈に浸潤を認める進行膵体部癌に対して術前化学放射線療法を施行後,手術を施行した.術中蛍光血管造影検査にて腹腔動脈遮断後も膵頭部アーケードを介した固有肝動脈への血流,胃血流が明瞭に確認できた.また,術中ICG負荷試験により肝機能も良好に保たれることを確認しえた.以...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 6; pp. 721 - 728
Main Authors 大東, 弘明, 小川, 久貴, 後藤, 邦仁, 山田, 晃正, 高橋, 秀典, 石川, 治, 長田, 盛典, 冨田, 裕彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.721

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Summary:脾動脈,総肝動脈に浸潤を認める進行膵体部癌に対して,Indocyanine Green(以下,ICGと略記)を用いた術中蛍光血管造影検査と術中ICG負荷試験を用い,術中リアルタイムに肝血流・胃血流および肝機能を評価し,安全に肝動脈非再建・全胃温存の腹腔動脈切離膵体尾部切除術を施行しえた1例を報告する.症例は59歳の男性で,脾動脈,腹腔動脈に浸潤を認める進行膵体部癌に対して術前化学放射線療法を施行後,手術を施行した.術中蛍光血管造影検査にて腹腔動脈遮断後も膵頭部アーケードを介した固有肝動脈への血流,胃血流が明瞭に確認できた.また,術中ICG負荷試験により肝機能も良好に保たれることを確認しえた.以上の術中検査の結果により肝動脈非再建で全胃温存した腹腔動脈合併膵体尾部切除術を実施したところ,術後経過は合併症を認めず非常に順調であった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.721