慢性関節リウマチ患者におけるボルタレン (ジクロフェナクナトリウム) SRカプセルの血清および関節組織内濃度の検討

慢性関節リウマチの薬物療法としては, 現在, 金製剤, ブシラミンなどのDMARDs(diseasemodifying anti-rheumatic drugs), ステロイド剤, および非ステロイド性鎮痛抗炎症剤(以下, 非ス剤と略す)などがよく使用されているが, DMARDsにくらべ副作用の少ない非ス剤が第一選択剤としてもっとも繁用されている. ジクロフェナクナトリウムは, 1965年, スイス, チバガイギー社で開発されたフェニール酢酸系の非ス剤で図1に示す構造式を有する化合物である. ジクロフェナクナトリウムの徐放性製剤であるボルタレンSRカプセルは, 効果の持続と副作用の軽減を目的に...

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Published in炎症 Vol. 15; no. 3; pp. 255 - 259
Main Authors 真島, 龍興, 近藤, 正一, 崎山, 紀久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症・再生医学会 20.05.1995
日本炎症学会
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Summary:慢性関節リウマチの薬物療法としては, 現在, 金製剤, ブシラミンなどのDMARDs(diseasemodifying anti-rheumatic drugs), ステロイド剤, および非ステロイド性鎮痛抗炎症剤(以下, 非ス剤と略す)などがよく使用されているが, DMARDsにくらべ副作用の少ない非ス剤が第一選択剤としてもっとも繁用されている. ジクロフェナクナトリウムは, 1965年, スイス, チバガイギー社で開発されたフェニール酢酸系の非ス剤で図1に示す構造式を有する化合物である. ジクロフェナクナトリウムの徐放性製剤であるボルタレンSRカプセルは, 効果の持続と副作用の軽減を目的に開発され, 慢性関節リウマチ(以下, RAと略す)や変形性関節症などの慢性疼痛性疾患に繁用されている. ボルタレンSRカプセルなどの非ス剤がRAなどの関節の炎症性疾患に投与された場合, 血中濃度のみでなく, 治療効果の面から炎症部位である滑膜, 関節液などの組織内濃度を検討することが重要ではないかと考えられる. 今回, 筆者らは人工関節置換術の施行を必要としたRA患者を対象に, ボルタレンSRカプセルの単回投与後のジクロフェナクの血清中濃度, 関節液中濃度および滑膜などの組織内濃度について検討を行ったので, 併せて本薬剤の炎症部位への組織移行性について若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.15.255