血管性腰痛 3例報告とその病態の考察

血管性腰痛の3例について報告し, その病態について考察した.症例1は50歳の男性である.動脈造影により腹部大動脈に限局して著明な狭窄を認め, 経皮的血管拡張術を行い腰痛と間欠破行は消失した.症例2は70歳の男性である.両側の総腸骨動脈から外腸骨動脈に著明な狭窄を認め, 右腋窩動脈から両側大腿動脈へのバイパス術を行い腰痛と間欠跛行は軽減した.症例3は70歳の男性である.主訴は腰痛である.8年前に閉塞性動脈硬化症に対して左大腿動脈レーザー形成術と右大腿動脈から膝窩動脈へのバイパス術を受けた既往があった.理学所見や画像所見から血管性腰痛と診断した.以上の3例の経験から, 間欠跛行を示すが, 神経学的...

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Published in日本腰痛研究会雑誌 Vol. 5; no. 1; pp. 61 - 66
Main Authors 菊地, 臣一, 星野, 俊一, 矢吹, 省司, 緑川, 博文
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本腰痛学会 29.10.1999
日本腰痛研究会
Subjects
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ISSN1341-7355
1884-2186
DOI10.14898/yotsu1995.5.61

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Summary:血管性腰痛の3例について報告し, その病態について考察した.症例1は50歳の男性である.動脈造影により腹部大動脈に限局して著明な狭窄を認め, 経皮的血管拡張術を行い腰痛と間欠破行は消失した.症例2は70歳の男性である.両側の総腸骨動脈から外腸骨動脈に著明な狭窄を認め, 右腋窩動脈から両側大腿動脈へのバイパス術を行い腰痛と間欠跛行は軽減した.症例3は70歳の男性である.主訴は腰痛である.8年前に閉塞性動脈硬化症に対して左大腿動脈レーザー形成術と右大腿動脈から膝窩動脈へのバイパス術を受けた既往があった.理学所見や画像所見から血管性腰痛と診断した.以上の3例の経験から, 間欠跛行を示すが, 神経学的異常所見を認めず, posturalfactorがなく, 閉塞性動脈硬化症を伴っている症例の腰痛は, 血管性腰痛の可能性がある.腰椎には何ら手をつけずに血管に対する処置のみで軽快・軽減する腰痛が存在する事実は, 血管性腰痛という概念を支持する.
ISSN:1341-7355
1884-2186
DOI:10.14898/yotsu1995.5.61