長期経過を追えた, 肝外門脈閉塞症に合併した十二指腸静脈瘤の1例

症例は68歳女性.昭和48年に特発性門脈圧亢進症に合併した食道静脈瘤に対し, Hassab手術が施行された.平成9年11月に食道静脈瘤再発のために当科に入院.血管造影では肝外門脈閉塞が確認され, 上腸間膜静脈からの上行性側副血行路と卵巣静脈を介し大循環へ流出する下行性側副血行路の発達が認められた.食道静脈瘤に対して内視鏡的硬化療法を施行したところ, 治療後に十二指腸球部に静脈瘤が出現した.この血行動態は, 上腸間膜静脈から肝臓へ向かう求肝性側副血行路の一部が十二指腸壁内に入り込み静脈瘤を形成したものと考えられた.回腸静脈からのCO2注入下での経十二指腸操作超音波内視鏡による血行動態の観察では,...

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Published in日本門脈圧亢進症学会雑誌 Vol. 7; no. 2; pp. 98 - 102
Main Authors 片倉, 響子, 宍戸, 英夫, 阿部, 幹, 阿部, 和道, 高木, 忠之, 若槻, 尊, 土屋, 貴男, 小原, 勝敏, 佐藤, 由紀夫, 斎藤, 文子, 折笠, 博史, 後藤, 満一, 大平, 弘正, 入澤, 篤志, 岩舘, 治代, 斎藤, 拓郎, 粕川, 禮司, 渋川, 悟朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 30.08.2001
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ISSN1344-8447
2186-6376
DOI10.11423/jsph1999.7.2_98

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Summary:症例は68歳女性.昭和48年に特発性門脈圧亢進症に合併した食道静脈瘤に対し, Hassab手術が施行された.平成9年11月に食道静脈瘤再発のために当科に入院.血管造影では肝外門脈閉塞が確認され, 上腸間膜静脈からの上行性側副血行路と卵巣静脈を介し大循環へ流出する下行性側副血行路の発達が認められた.食道静脈瘤に対して内視鏡的硬化療法を施行したところ, 治療後に十二指腸球部に静脈瘤が出現した.この血行動態は, 上腸間膜静脈から肝臓へ向かう求肝性側副血行路の一部が十二指腸壁内に入り込み静脈瘤を形成したものと考えられた.回腸静脈からのCO2注入下での経十二指腸操作超音波内視鏡による血行動態の観察では, 十二指腸静脈瘤の血流は直接肝内に流入することが確認されたため, 治療による肝内門脈血流への影響を考えて無治療・経過観察となった.現在まで出血はなく, 外来にて超音波内視鏡による静脈瘤径の測定を主体として, 経過観察中である.
ISSN:1344-8447
2186-6376
DOI:10.11423/jsph1999.7.2_98