コレステロール塞栓症により小腸潰瘍穿孔を2度繰り返した1例

コレステロール塞栓症(cholesterol crystal embolization;以下,CCEと略記)は血管内粥腫の破綻,飛散による,まれな全身性塞栓症である.症例は78歳の男性で,腹痛,下痢,足趾の疼痛を主訴に来院した.CT上腹腔内遊離ガスを認め,消化管穿孔の診断で手術を要した.小腸に多発潰瘍,穿孔を認め,小腸部分切除を施行した.術後37日目,経過良好にて独歩退院した.病理組織学的検査でCCEによる小腸潰瘍穿孔と診断された.その約半年後,前回同様の診断で緊急手術が施行された.術後9日目に縫合不全もしくは小腸再穿孔を来し,術後44日目に死亡した.CCEによる小腸潰瘍穿孔はまれであるが,そ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 1; pp. 64 - 71
Main Authors 菊地, 文史, 上田, 和光, 野渡, 剛之, 酒向, 晃弘, 清松, 知充, 青木, 茂雄, 奥村, 稔, 河口, 義邦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.01.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.64

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Summary:コレステロール塞栓症(cholesterol crystal embolization;以下,CCEと略記)は血管内粥腫の破綻,飛散による,まれな全身性塞栓症である.症例は78歳の男性で,腹痛,下痢,足趾の疼痛を主訴に来院した.CT上腹腔内遊離ガスを認め,消化管穿孔の診断で手術を要した.小腸に多発潰瘍,穿孔を認め,小腸部分切除を施行した.術後37日目,経過良好にて独歩退院した.病理組織学的検査でCCEによる小腸潰瘍穿孔と診断された.その約半年後,前回同様の診断で緊急手術が施行された.術後9日目に縫合不全もしくは小腸再穿孔を来し,術後44日目に死亡した.CCEによる小腸潰瘍穿孔はまれであるが,その診断がなされた場合,穿孔再発の可能性を念頭におき,適切な術式選択や長期的な全身管理が必要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.64