一斉集団学習とCAI学習にもとづく学習者の類型化の一検討 基礎的な情報処理学習の結果をもとに

基礎的な情報処理という同じ学習内容を相異なる2つの教授・学習指導法,すなわち,一方は従来の印刷教材と黒板を媒体とした一斉集団学習方法であり,他方はCAI教材を媒体とした個別学習方法を同一の学習者群に適用した.その後,両者の学習成果を測定するため,多岐選択方式を主体にした筆記試験を実施した.その得点結果をもとに学習者1人ひとりについて分析したところ,①2つの学習方法とも所期の学習成果がみられるもの,②一斉集団学習方法では,所期の学習成果がみられるもの,③CAI学習方法では,所期の学習成果がみられるもの,④2つの学習方法とも所期の学習成果がみられないもの,という4つの類型に大別できた.4つの類型の...

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Published in日本教育工学雑誌 Vol. 19; no. 4; pp. 197 - 205
Main Authors 長畑, 秀和, 今田, 純江, 近藤, 勲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本教育工学会 20.03.1996
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ISSN0385-5236
2432-6038
DOI10.15077/jmet.19.4_197

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Summary:基礎的な情報処理という同じ学習内容を相異なる2つの教授・学習指導法,すなわち,一方は従来の印刷教材と黒板を媒体とした一斉集団学習方法であり,他方はCAI教材を媒体とした個別学習方法を同一の学習者群に適用した.その後,両者の学習成果を測定するため,多岐選択方式を主体にした筆記試験を実施した.その得点結果をもとに学習者1人ひとりについて分析したところ,①2つの学習方法とも所期の学習成果がみられるもの,②一斉集団学習方法では,所期の学習成果がみられるもの,③CAI学習方法では,所期の学習成果がみられるもの,④2つの学習方法とも所期の学習成果がみられないもの,という4つの類型に大別できた.4つの類型のうち, とくに③の類型に属する学習者にとっては,CAI学習が学習手段・方法の選択の拡大に留まらず,実際に学習成果を上げるために有効に機能していることを示した.換言すると,CAI学習の必要性を主張する論拠の正当性を示したといえる.一方,②の類型に属する学習者群がいることは,一斉集団学習方法が一概に否定されたり軽視されるものでもないことを示したといえる.
ISSN:0385-5236
2432-6038
DOI:10.15077/jmet.19.4_197