遺伝子組換え型ヒトエリスロポエチン(SNB-5001)の体内動態(III): 125I-SNB-5001投与後のラットにおける全身オートラジオグラフィー,胎仔および乳汁移行性

125I-SNB-5001を50U/kgで雄性,妊娠および哺育中のラットに静脈内または皮下投与し,分布および蓄積性ならびに胎仔移行性および乳汁移行性について検討した. 1.雄性ラットに単回静脈内投与すると,全身オートラジオグラフィーの結果より甲状腺,血液,リンパ,腎臓,肝臓,骨髄,肺に速やかに高濃度で分布し,甲状腺および皮膚を除く組織からの放射能の消失は速やかであった.一方,皮下投与すると,放射能の分布は緩慢で全体的に放射能濃度は低いが,静脈内投与と比較して,分布パターンは類似していた.また,脳および脊髄への分布は極めて低かった. 2.雄性ラットに1日1回7日間静脈内および皮下に反復投与しても...

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Published in薬物動態 Vol. 8; no. 2; pp. 195 - 220
Main Authors 江角, 凱夫, 神谷, 恵子, 木村, 和枝, 白水, 直美, 大坪, 美和, 関, 英昌, 高坂, 和弘, 三次, 孝一, 高尾, 厚志
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本薬物動態学会 10.04.1993
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ISSN0916-1139
DOI10.2133/dmpk.8.195

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Summary:125I-SNB-5001を50U/kgで雄性,妊娠および哺育中のラットに静脈内または皮下投与し,分布および蓄積性ならびに胎仔移行性および乳汁移行性について検討した. 1.雄性ラットに単回静脈内投与すると,全身オートラジオグラフィーの結果より甲状腺,血液,リンパ,腎臓,肝臓,骨髄,肺に速やかに高濃度で分布し,甲状腺および皮膚を除く組織からの放射能の消失は速やかであった.一方,皮下投与すると,放射能の分布は緩慢で全体的に放射能濃度は低いが,静脈内投与と比較して,分布パターンは類似していた.また,脳および脊髄への分布は極めて低かった. 2.雄性ラットに1日1回7日間静脈内および皮下に反復投与しても,単回投与と比べて放射能の分布パターンに変化は見られず,甲状腺および皮膚以外の組織への蓄積性は認められなかった. 3.妊娠19日目のラットに静脈内投与すると,胎仔中の甲状腺および胃内容物を除く組織への放射能の分布は痕跡程度であった.胎仔中のTCA不溶性放射能は投与後初期で約30%を占め,放射能の大部分は遊離した125Iあるいは低分子の125I化合物と考えられた.これらの結果より,SNB-5001の胎仔移行性は低いものと推測された. 4.哺育中のラットに静脈内投与すると,乳汁中の放射能は徐々に上昇し,投与後6時間でピークに達し,母体血漿より高い濃度を示した.その後乳汁中放射能は血漿と同様に速やかに消失したが,乳汁中のTCA不溶性放射能の占める割合は経時的に上昇していた.
ISSN:0916-1139
DOI:10.2133/dmpk.8.195