頭部X線規格写真分析用テンプレート (スーパーインポーザー) の外科的矯正治療への応用

「緒言」側面頭部X線規格写真の分析に用いる, 正常咬合者の解剖学的計測点の座標平均値を結んだフェイシャル, ダイアグラム1, 2)や解剖学的テンプレートは3, 4), 顎顔面形態を図形的に表しているため, 患者と平均的形態を比較するには視覚的で, 簡単かつ便利である. しかし, これらのテンプレートを, 顔全体が著しく大きかったり, 小さかったりする患者に対して用いる際には, 両者の差を解消するための工夫が必要である. すなわち, テンプレート分析の重ね合わせの基準平面として前頭蓋底(Sella-Nasion;S-N)を選択した時, その前後径に差がある場合, 前方点であるNasionを原点と...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 9; no. 3; pp. 167 - 177
Main Authors 白土, 雄司, 中島, 昭彦, 玉利, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 15.12.1999
日本顎変形症学会
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.9.167

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Summary:「緒言」側面頭部X線規格写真の分析に用いる, 正常咬合者の解剖学的計測点の座標平均値を結んだフェイシャル, ダイアグラム1, 2)や解剖学的テンプレートは3, 4), 顎顔面形態を図形的に表しているため, 患者と平均的形態を比較するには視覚的で, 簡単かつ便利である. しかし, これらのテンプレートを, 顔全体が著しく大きかったり, 小さかったりする患者に対して用いる際には, 両者の差を解消するための工夫が必要である. すなわち, テンプレート分析の重ね合わせの基準平面として前頭蓋底(Sella-Nasion;S-N)を選択した時, その前後径に差がある場合, 前方点であるNasionを原点として重ね合わすことが推奨されている5). これも1つの方法ではあるが, 本来は基準線分の長さが一致する方が評価しやすい. 実際当科において, ここ10年間に外科的矯正治療の適用対象となった反対咬合患者, 男子24名, 女子20名のS-Nの大きさを調べたところ, 平均値とその標準偏差は男子;73.35±3.18mm, 女子;69.37±2.03mmであり, 最大値と最小値の差は男子で約10mm, 女子で6mm以上であった. したがって, テンプレートの大きさを基準線分の距離が一致するように修正し患者の側面頭部X線規格写真と比較すれば, 形態分析はさらに視覚性に富むものとなる.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.9.167