LC/QTofMSを用いた女性ホルモン様物質の網羅的分析法とその応用

水環境中の化学物質による内分泌かく乱作用を包括的・網羅的に把握することを目的として,生物学的,化学的及び工学的にアプローチした研究の一端を紹介する。 著者らのラボでは,約 600 物質の各種受容体結合活性を酵母ツーハイブリッド法によりスクリーニングしてきた。 これと併せ,国内外の環境水の汚染レベルも把握し,一部 試料からエストロジェン受容体 (ER) 結合活性を示す物質として4─(3─phenylpropyl) phenol を同定した。hER 受容体結合活性を示した141 物質を LC/QTofMSで測定し,多段階精密質量による高精度一斉分析法を作成した。また活性物質を選択的に捕集するため,...

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Published in地球環境 Vol. 24; no. 1; pp. 15 - 22
Main Authors 中島 大介, 柳下 真由子, 久保 拓也, 中山 祥嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国際環境研究協会 2019
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Summary:水環境中の化学物質による内分泌かく乱作用を包括的・網羅的に把握することを目的として,生物学的,化学的及び工学的にアプローチした研究の一端を紹介する。 著者らのラボでは,約 600 物質の各種受容体結合活性を酵母ツーハイブリッド法によりスクリーニングしてきた。 これと併せ,国内外の環境水の汚染レベルも把握し,一部 試料からエストロジェン受容体 (ER) 結合活性を示す物質として4─(3─phenylpropyl) phenol を同定した。hER 受容体結合活性を示した141 物質を LC/QTofMSで測定し,多段階精密質量による高精度一斉分析法を作成した。また活性物質を選択的に捕集するため,受容体を模した分子鋳型による前処理基材を開発した。この分子鋳型によって下水処理場排水を精製した結果,hER 結合活性は保持したまま,LC/QTofMS による検出ピークボリューム換算で 8 割の精製効果が得られた。さらにこの分子鋳型を LC/QTofMS のプレカラムとして組み込み,オンラインカラムスイッチ法による活性物質の一斉分析法を開発した。
ISSN:1342-226X
2758-3783
DOI:10.57466/chikyukankyo.24.1_15