看護学分野での統計改革を目指して t検定におけるd族効果量の報告状況とその普及に向けた課題

APA論文作成マニュアルでは,研究結果に効果量の記載を必須としている。しかし,実際には,効果量を詳細に記載している論文はいまだ少なく,特にd族効果量の報告はほとんどない。そこで,本論文ではAPA論文作成マニュアルを採用している日本看護研究学会雑誌を対象に,d族効果量(Cohen’s d,Hedges’ g,Glass’ Δ ,gadj,dD)の報告状況を調査した。2012年から2016年に掲載された論文のうち,t検定を用いた論文を調査対象とした。結果として,t検定を用いた25の論文のうち,d族効果量を報告した論文はなかった。日本看護研究学会の知名度も考慮にいれると,この結果は日本の看護学分野全...

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Published in日本看護研究学会雑誌 Vol. 41; no. 5; pp. 5_1013 - 5_1019
Main Author 長島, 俊輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本看護研究学会 20.12.2018
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ISSN2188-3599
2189-6100
DOI10.15065/jjsnr.20180422032

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Summary:APA論文作成マニュアルでは,研究結果に効果量の記載を必須としている。しかし,実際には,効果量を詳細に記載している論文はいまだ少なく,特にd族効果量の報告はほとんどない。そこで,本論文ではAPA論文作成マニュアルを採用している日本看護研究学会雑誌を対象に,d族効果量(Cohen’s d,Hedges’ g,Glass’ Δ ,gadj,dD)の報告状況を調査した。2012年から2016年に掲載された論文のうち,t検定を用いた論文を調査対象とした。結果として,t検定を用いた25の論文のうち,d族効果量を報告した論文はなかった。日本看護研究学会の知名度も考慮にいれると,この結果は日本の看護学分野全体でも効果量に対する認知が低い可能性を示唆している。効果量による研究の考察は,看護学研究のさらなる発展に寄与するものであり,今後,看護学分野でも効果量の記載を重要視していく必要がある。
ISSN:2188-3599
2189-6100
DOI:10.15065/jjsnr.20180422032