小児IgA腎症に対するEnalaprilの効果について Dipyridamoleとの比較
小児IgA腎症18例に対してAngiotensin変換酵素阻害剤であるEnalaprilまたは抗血小板剤であるDipyridamoleを2年間投与し,尿所見および組織所見を比較検討した。Enalapril投与群 (E群),Dipyridamole投与群 (D群) 共に,軽症例は単独投与とし,中等症例にはPrednisolone,Azathioprine,Heparin,Warfarinをそれぞれ併用した。 E群では尿所見の有意な改善を認め,組織所見で増悪の所見は認めず,急性病変の一部に有意な改善を認めた。D群では尿所見で改善は認めず,組織所見で細胞増殖スコアの有意な減少を認めたが,慢性病変と...
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Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 8; no. 2; pp. 137 - 144 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
30.11.1995
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Subjects | |
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ISSN | 0915-2245 1881-3933 |
DOI | 10.3165/jjpn.8.137 |
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Summary: | 小児IgA腎症18例に対してAngiotensin変換酵素阻害剤であるEnalaprilまたは抗血小板剤であるDipyridamoleを2年間投与し,尿所見および組織所見を比較検討した。Enalapril投与群 (E群),Dipyridamole投与群 (D群) 共に,軽症例は単独投与とし,中等症例にはPrednisolone,Azathioprine,Heparin,Warfarinをそれぞれ併用した。 E群では尿所見の有意な改善を認め,組織所見で増悪の所見は認めず,急性病変の一部に有意な改善を認めた。D群では尿所見で改善は認めず,組織所見で細胞増殖スコアの有意な減少を認めたが,慢性病変とChronicity Indexの有意な増悪を認めた。2年の治療後,E群はD群に比し尿所見は改善し,組織障害も軽度であった。以上より小児IgA腎症に対してEnalaprilは,Dipyridamoleに比し有効である可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 0915-2245 1881-3933 |
DOI: | 10.3165/jjpn.8.137 |