腎性低尿酸血症における運動後急性腎不全の発症機序に関する考察

腎性低尿酸血症は,human urate transporter1の異常により低尿酸血症をきたす疾患で,運動後急性腎不全の合併が多い。その発症機序について二つの仮説,すなわち「急性尿酸腎症説」および「活性酸素関与説」が提唱されているが,詳細は不明である。  本論文では,腎性低尿酸血症の患者において運動後急性腎不全の合併しやすい理由を過去の文献を参考に考察するとともに,筆者らが経験した腎性低尿酸血症患児において,運動負荷の上で酸化ストレス度と抗酸化力を測定した結果を紹介した。患児は対照成人と同様,運動負荷直後から酸化ストレス度の上昇を示したが,抗酸化力は対照成人と異なり,運動負荷後,急激に低下し...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 22; no. 2; pp. 147 - 151
Main Authors 蓮井, 正史, 武輪, 鈴子, 中野, 崇秀, 野津, 寛大, 谷口, 奈穂, 田中, 幸代, 金子, 一成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 15.11.2009
日本小児腎臓病学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.22.147

Cover

More Information
Summary:腎性低尿酸血症は,human urate transporter1の異常により低尿酸血症をきたす疾患で,運動後急性腎不全の合併が多い。その発症機序について二つの仮説,すなわち「急性尿酸腎症説」および「活性酸素関与説」が提唱されているが,詳細は不明である。  本論文では,腎性低尿酸血症の患者において運動後急性腎不全の合併しやすい理由を過去の文献を参考に考察するとともに,筆者らが経験した腎性低尿酸血症患児において,運動負荷の上で酸化ストレス度と抗酸化力を測定した結果を紹介した。患児は対照成人と同様,運動負荷直後から酸化ストレス度の上昇を示したが,抗酸化力は対照成人と異なり,運動負荷後,急激に低下した。すなわち対照に比して運動負荷時の酸化ストレス増大に見合う抗酸化力を有していないことが示唆された。以上より,酸化ストレス急増時の抗酸化力の相対的不足が腎性低尿酸血症における運動後急性腎不全発症に関与しているものと思われた。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.22.147