気道における神経ペプチド 気管支喘息の病態への関与の可能性

脳内に存在する生理活性ペプチド(神経ペプチド)は, 近年, その多くが腸管ないしその誘導器官に共通して存在することが明らかにされ, 脳一腸管ペプチドとよばれるようになった. 自律神経系においても, アセチルコリン, ノルアドレナリン, アドレナリン, ドーパミンといった古典的な神経伝達物質に加え, 神経ペプチドの神経伝達物質としての役割が注目されている(表1). 気管-気管支系は, 発生学的に前腸より生ずるため, 胃腸管と同様, 気道における神経ペプチドの役割は, 興味あるところである. 事実, 種々の神経ペプチドが気道にも存在することが明らかにされ1), 気管支平滑筋に対する作用, 気管支腺...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in炎症 Vol. 9; no. 1; pp. 17 - 23
Main Authors 黒沢, 元博, 石塚, 全
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症・再生医学会 1989
日本炎症学会
Online AccessGet full text
ISSN0389-4290
1884-4006
DOI10.2492/jsir1981.9.17

Cover

More Information
Summary:脳内に存在する生理活性ペプチド(神経ペプチド)は, 近年, その多くが腸管ないしその誘導器官に共通して存在することが明らかにされ, 脳一腸管ペプチドとよばれるようになった. 自律神経系においても, アセチルコリン, ノルアドレナリン, アドレナリン, ドーパミンといった古典的な神経伝達物質に加え, 神経ペプチドの神経伝達物質としての役割が注目されている(表1). 気管-気管支系は, 発生学的に前腸より生ずるため, 胃腸管と同様, 気道における神経ペプチドの役割は, 興味あるところである. 事実, 種々の神経ペプチドが気道にも存在することが明らかにされ1), 気管支平滑筋に対する作用, 気管支腺分泌に対する作用, 肺血流に対する作用, アレルギー反応との関与などが報告されている. 筆者らは, ここに気管支喘息の病態生理における神経ペプチドの関与について文献的にまとめ, 考察を加えてみることにする.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.9.17