DC/TMDにおけるⅠ軸,Ⅱ軸診断の関連性の研究 歯科学生を対象としたスクリーニング調査

DC/TMDによる顎関節症の診断は身体的評価(Ⅰ軸)および心理社会的評価(Ⅱ軸)の2軸により行われるが,Ⅰ軸とⅡ軸間の相関についての検討がなされていない。本研究はDC/TMDにおける2軸診断の関連性を検討することを目的としてスクリーニング調査を行った。被験者は日本大学松戸歯学部の5年次生226名(男性144名,女性82名,平均年齢23.8±2.7歳)とした。DC/TMDのⅠ軸診断にはExamination Formにおける症状に対する自覚の有無(自覚ありをP群,をN群),圧痛検査における圧痛部位数を用い,Ⅱ軸診断はOBC(口腔行動),GAD-7(不安傾向),PHQ-9(抑うつ傾向)を用いて両者...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 31; no. 2; pp. 106 - 114
Main Authors 若見, 昌信, 小見山, 道, 岡本, 康裕, 飯田, 崇, 内田, 貴之, 村守, 樹理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.08.2019
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.31.106

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Summary:DC/TMDによる顎関節症の診断は身体的評価(Ⅰ軸)および心理社会的評価(Ⅱ軸)の2軸により行われるが,Ⅰ軸とⅡ軸間の相関についての検討がなされていない。本研究はDC/TMDにおける2軸診断の関連性を検討することを目的としてスクリーニング調査を行った。被験者は日本大学松戸歯学部の5年次生226名(男性144名,女性82名,平均年齢23.8±2.7歳)とした。DC/TMDのⅠ軸診断にはExamination Formにおける症状に対する自覚の有無(自覚ありをP群,をN群),圧痛検査における圧痛部位数を用い,Ⅱ軸診断はOBC(口腔行動),GAD-7(不安傾向),PHQ-9(抑うつ傾向)を用いて両者の関係性を検討した。症状の自覚,圧痛部位数は女性が有意に多かったが,他の項目には男女差は認めなかった。GAD-7とPHQ-9の間にr=0.745の有意な強い相関関係を認め,OBCと圧痛部位数の間にr=0.322の有意な弱い相関関係を認めた。P群ではN群に比べ圧痛部位数とPHQ-9の値が有意に高かった。自覚症状の有無を従属変数として,独立変数の圧痛部位数,PHQ-9軽度,OBCの5番目の質問項目のオッズ比に有意な値を認めた。以上より,顎関節症症状を認めない,もしくは軽度の学生を対象としてDC/TMDにおけるⅠ軸診断とⅡ軸診断を検討した結果,両者の間に関連性が確認された。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.31.106