口唇裂口蓋裂患者の顎裂部骨移植に伴う外鼻形態の変化について 顎裂部骨移植単独症例と鼻修正同時施行症例との比較検討
二次的顎裂部骨移植術は,唇顎口蓋裂患者の歯列形態や咬合機能に関して重要な方法の一つとなっている。当科では,従来の形態と機能の回復に加え,同時に鼻腔底・鼻翼基部に細片骨を盛り上げ,症例によっては鼻修正を同時に行い積極的に鼻翼基部周辺の陥凹の改善につとめている。しかし,その評価に関しては三次元的であるため,これまでの報告では臨床現場において簡便に評価できる方法が少ないのが現状である。そこで,術前,術後(6か月)の二方向の顔面写真(正面および鼻孔位)を利用し,顎裂部骨移植術後の外鼻形態の変化を検討した。対象は2006年1月から2008年12月の間に当科で二次的顎裂閉鎖および腸骨移植術を行った22例で...
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Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 18 - 27 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
25.04.2010
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Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate.35.18 |
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Summary: | 二次的顎裂部骨移植術は,唇顎口蓋裂患者の歯列形態や咬合機能に関して重要な方法の一つとなっている。当科では,従来の形態と機能の回復に加え,同時に鼻腔底・鼻翼基部に細片骨を盛り上げ,症例によっては鼻修正を同時に行い積極的に鼻翼基部周辺の陥凹の改善につとめている。しかし,その評価に関しては三次元的であるため,これまでの報告では臨床現場において簡便に評価できる方法が少ないのが現状である。そこで,術前,術後(6か月)の二方向の顔面写真(正面および鼻孔位)を利用し,顎裂部骨移植術後の外鼻形態の変化を検討した。対象は2006年1月から2008年12月の間に当科で二次的顎裂閉鎖および腸骨移植術を行った22例で,裂型は片側性唇顎裂(UCLA)10例,片側性唇顎口蓋裂(UCLP)12例である。 以下にその結果を示す。 (1)鼻翼基部の偏位について,両裂型および術式において術後は左右差は認められず良好であった。 (2)鼻孔上縁の下垂については,両裂型および術式において術前は患側の鼻孔上縁が大きく下垂し術後に減少傾向が認められたが有意差は認められなかった。 (3)鼻尖の偏位に関しては,両裂型および術式において術前術後に大きな変化はなく,骨移植および鼻修正の影響は認められなかった。 (4)鼻柱の偏位に関しては,両裂型および術式において,術後に改善傾向を示し,特に片側性唇顎裂症例において有意差が認められた。 (5)鼻腔底陥凹については,両裂型および術式において術後は健側および患側に大きな差は認められず対称性を示していた。 当科で行っている顎裂部骨移植術(同時鼻修正術を含む)は,一貫治療における咬合形成のみならず,審美形態改善にも大きく寄与する可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate.35.18 |