アレルギー性紫斑病の臨床的検討 抗アレルギー剤の腎炎発症予防効果について

昭和61年から平成2年までの5年間に盛岡赤十字病院小児科で経験したアレルギー性紫斑病17例を臨床的に検討した。17例中,腎炎を発症したものは5例,29%であった。腎炎発症群に一定の傾向はみられなかった。一方,紫斑病発症早期より抗アレルギー剤の投与を試みた群,11例と非投与群,6例とに分けた,2群間の比較検討では,腎炎発症率は前者で1例,0.09%,後者で4例,66%と前者で有意に低率であった (p<0.05)。また,抗アレルギー剤投与群で腎炎発症をみた1例においても臨床経過は良好であった。アレルギー性紫斑病において,その腎炎発症を予防する有効な治療法は未だ確立されておらず,また,抗アレル...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 4; no. 1; pp. 50 - 55
Main Authors 田中, 完, 佐々木, 哲哉, 阿部, 光右
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 01.04.1991
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.4.50

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Summary:昭和61年から平成2年までの5年間に盛岡赤十字病院小児科で経験したアレルギー性紫斑病17例を臨床的に検討した。17例中,腎炎を発症したものは5例,29%であった。腎炎発症群に一定の傾向はみられなかった。一方,紫斑病発症早期より抗アレルギー剤の投与を試みた群,11例と非投与群,6例とに分けた,2群間の比較検討では,腎炎発症率は前者で1例,0.09%,後者で4例,66%と前者で有意に低率であった (p<0.05)。また,抗アレルギー剤投与群で腎炎発症をみた1例においても臨床経過は良好であった。アレルギー性紫斑病において,その腎炎発症を予防する有効な治療法は未だ確立されておらず,また,抗アレルギー剤はこれまで重篤な副作用が報告されていないことから,投与を試みてみて良い治療法と考えられた。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.4.50