気管支拡張症の診断・病態と新たな治療戦略

気管支拡張症はさまざまな原因による慢性気道炎症の結果,気道の粘液線毛クリアランス機能が低下し,気道壁の平滑筋や軟骨などの支持組織の破壊が進行して気道径の拡張を呈する病態である.近年,囊胞性線維症によらない気管支拡張症が注目を浴び,病態の解明が進められている.原因疾患の治療に加えて,理学療法などによる気道クリアランス,慢性気道炎症の軽減作用を有するマクロライド療法,気道感染やそれを契機とする増悪への対応などが治療の中心になる.最近,病態に深く関与する好中球エラスターゼを標的にした治療,気道感染,特に緑膿菌を標的にした治療,さらに好酸球が関与する病態における2型免疫を制御する治療などの新たな治療が...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 113; no. 7; pp. 1305 - 1311
Main Authors 朝倉 崇徳, 松本 久子, 長谷川 直樹, 森本 耕三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.07.2024
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Summary:気管支拡張症はさまざまな原因による慢性気道炎症の結果,気道の粘液線毛クリアランス機能が低下し,気道壁の平滑筋や軟骨などの支持組織の破壊が進行して気道径の拡張を呈する病態である.近年,囊胞性線維症によらない気管支拡張症が注目を浴び,病態の解明が進められている.原因疾患の治療に加えて,理学療法などによる気道クリアランス,慢性気道炎症の軽減作用を有するマクロライド療法,気道感染やそれを契機とする増悪への対応などが治療の中心になる.最近,病態に深く関与する好中球エラスターゼを標的にした治療,気道感染,特に緑膿菌を標的にした治療,さらに好酸球が関与する病態における2型免疫を制御する治療などの新たな治療が注目されている.実用化されていないものや我が国には馴染みの薄いものもあるが,今後期待される治療として紹介する.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.113.1305