A case of hypertrophic cardiomyopathy with fulminant hepatitis induced by infusion of amiodarone

患者は43歳, 男性. 肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy; HCM)および心室頻拍(ventricular tachycardia; VT)の治療にて通院中であったが, 内服薬を自己中断した後より, VTが出現し当科外来を受診した. 血圧低下を認め, 血行動態が不安定であるため外来で直流通電を行い洞調律に回復したがVTの再発予防のため入院した. 血液検査では, 中等度の肝障害を認めていたが, 心室頻拍の加療目的のためアミオダロンの静注を開始した. 入院翌日より徐脈が出現したためアミオダロンの静注を中止し, 一時的ペースメーカーを挿入した. しかし, 意識レベ...

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Published inShinzo Vol. 43; no. 6; pp. 789 - 794
Main Authors Nakamura, Michitsugu, Takada, Yasuharu, Sato, Sumiko, Matsumoto, Yuji, Mori, Hideki, Dazai, Yasunobu
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Japan Heart Foundation 2011
公益財団法人 日本心臓財団
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.43.789

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Summary:患者は43歳, 男性. 肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy; HCM)および心室頻拍(ventricular tachycardia; VT)の治療にて通院中であったが, 内服薬を自己中断した後より, VTが出現し当科外来を受診した. 血圧低下を認め, 血行動態が不安定であるため外来で直流通電を行い洞調律に回復したがVTの再発予防のため入院した. 血液検査では, 中等度の肝障害を認めていたが, 心室頻拍の加療目的のためアミオダロンの静注を開始した. 入院翌日より徐脈が出現したためアミオダロンの静注を中止し, 一時的ペースメーカーを挿入した. しかし, 意識レベルの低下が進行し, 入院第3病日に著明な肝障害の悪化と腎障害があり, さらに血小板数の低下, 血清アンモニア値の上昇, プロトロンビン時間の延長から腎障害を伴った薬剤による劇症肝炎と診断した. 速やかに血漿交換療法を開始し, 血液濾過透析を併用して対処した. 3回の血漿交換により肝障害は改善したもののアミオダロンの再投与は困難と判断し, 突然死の予防として, 植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator; ICD)の留置術を施行した. アミオダロン投与前に肝障害が認められた場合は, 頻回に肝機能のモニタリングを行うとともに, 肝障害の改善が認められない場合には早期にアミオダロンを中止し, さらに重篤化した場合には血漿交換や血液濾過透析など速やかな対処が必要であると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.789