軟膜損傷を伴わないLess invasive transsylvian approachのためのmicrosugical technique
Yasargilが提唱したtranssylvian approachは血管障害, 脳腫瘍の際によく用いられる最も基本的なアプローチの1つである12). われわれは, 内頸動脈, 中大脳動脈, 脳底動脈へのアプローチにtemporal tipから約5cm遠位端よりシルビウス裂に進入するdistal transsylvian approachを用いている9). distal transsylvian approachでは, subfrontal approachに比べ, シルビウス裂を大きく開放するため前頭葉の圧排が軽度となり前頭葉の脳挫傷の危険性が低い. また前頭葉を大きく挙上する必要がないため...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 34; no. 2; pp. 96 - 100 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2006
日本脳卒中の外科学会 |
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ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs.34.96 |
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Summary: | Yasargilが提唱したtranssylvian approachは血管障害, 脳腫瘍の際によく用いられる最も基本的なアプローチの1つである12). われわれは, 内頸動脈, 中大脳動脈, 脳底動脈へのアプローチにtemporal tipから約5cm遠位端よりシルビウス裂に進入するdistal transsylvian approachを用いている9). distal transsylvian approachでは, subfrontal approachに比べ, シルビウス裂を大きく開放するため前頭葉の圧排が軽度となり前頭葉の脳挫傷の危険性が低い. また前頭葉を大きく挙上する必要がないため, 頭頂蝶形骨静脈に流入する架橋静脈の長さによって, 得られる術野の広さに制限がない2)9). しかしながら, 表面のシルビウス静脈をはじめシルビウス裂内には多くの静脈, 動脈が存在し, 軟膜血管を含めたすべての血管を温存してアプローチすることは一般的に困難と考えられている. われわれがこのアプローチを行う際には, 原則としてすべて鋏を用いた鋭的剥離によりシルビウス裂を開放し, すべての血管の温存を行っている. 静脈はもとより軟膜や軟膜血管の損傷を起こさずにシルビウス裂を開放する方法は特別なテクニックを要するわけではないが, 軟膜血管損傷を防ぐにはまずそれらの損傷のメカニズムを理解し, つぎにそれらに対応する基本的な微小外科技術を適宜選択することで回避可能である. われわれの留意している技術的ポイントについて述べる. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.34.96 |