頭蓋内病変に対する血行再建
脳動脈瘤や脳腫瘍などの頭蓋内病変に対して直達手術による根治術を行う際に, 脳主幹動脈や主幹静脈などの損傷が生じた場合には, 状況に応じた臨機応変の対応が必要とされる. 本稿では術中予期せず生じた母血管損傷に対する対応について報告する. [症例] 〈症例1〉88歳, 女性. 破裂前交通動脈瘤, Hunt&Kosnik Grade IV(Fig. 1)両側前頭開頭, 大脳半球間裂アプローチで破裂前交通動脈瘤を露出し, クリップのかけ直しの操作により左A2側ネックに小さな裂け目が生じたため, 10-0ナイロンによる直接縫合を行って止血した(Fig. 2). 裂け目の方向に直角の方向, すなわ...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 33; no. 4; pp. 235 - 239 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2005
日本脳卒中の外科学会 |
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ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs.33.235 |
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Summary: | 脳動脈瘤や脳腫瘍などの頭蓋内病変に対して直達手術による根治術を行う際に, 脳主幹動脈や主幹静脈などの損傷が生じた場合には, 状況に応じた臨機応変の対応が必要とされる. 本稿では術中予期せず生じた母血管損傷に対する対応について報告する. [症例] 〈症例1〉88歳, 女性. 破裂前交通動脈瘤, Hunt&Kosnik Grade IV(Fig. 1)両側前頭開頭, 大脳半球間裂アプローチで破裂前交通動脈瘤を露出し, クリップのかけ直しの操作により左A2側ネックに小さな裂け目が生じたため, 10-0ナイロンによる直接縫合を行って止血した(Fig. 2). 裂け目の方向に直角の方向, すなわちA2起始部の長軸に平行に縫合操作を行い, A2起始部と動脈瘤ネックを引き寄せるように縫合し, 合計2針の縫合により止血可能であった. その後あらためてネッククリッピングを行い, 手術を終了した. 本症例の左A2部は動脈硬化が強く脳梁辺縁動脈が分岐する直前で90%狭窄を認めたため, 同時に左右脳梁周囲動脈間でA3‐A3側吻合5)を追加し左前大脳動脈末梢部への血流を確保し, 術後生じるであろう遅発性脳血管攣縮に対応できるよう予防的血行再建を追加した. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.33.235 |