国際航路における2目的配船問題
本研究では定期船航路の最適配船計画を取り扱う.定期船サービスでは他の輸送機関と同様, 高速性はきわめて重要である.定期船では不特定多数の荷主が混載で様々な区間を利用しているため, 1航海の航海時間の最小化が一つの目的関数になる.一方, 船会社の収益性や海運サービスの公共性の立場から1隻の貨物輸送量の最大化がもう一つの目的関数であろう.しかし船型の関係から, 最短時間での航海経路で必ずしも最大輸送量が実現できる保証はない.そこで本研究ではこれらの目的を有する配船計画を2目的巡回セールスマン問題として検討する.解法としてはまず可能な最大貨物量での最小巡回路を巡回セールスマン問題で求める.さらに既存...
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Published in | 日本物流学会誌ジャーナル Vol. 1993; no. 2; pp. 27 - 41 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本物流学会
1993
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ISSN | 0919-3782 1884-6858 |
DOI | 10.11285/logisticssociety1992.1993.27 |
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Summary: | 本研究では定期船航路の最適配船計画を取り扱う.定期船サービスでは他の輸送機関と同様, 高速性はきわめて重要である.定期船では不特定多数の荷主が混載で様々な区間を利用しているため, 1航海の航海時間の最小化が一つの目的関数になる.一方, 船会社の収益性や海運サービスの公共性の立場から1隻の貨物輸送量の最大化がもう一つの目的関数であろう.しかし船型の関係から, 最短時間での航海経路で必ずしも最大輸送量が実現できる保証はない.そこで本研究ではこれらの目的を有する配船計画を2目的巡回セールスマン問題として検討する.解法としてはまず可能な最大貨物量での最小巡回路を巡回セールスマン問題で求める.さらに既存の巡回セールスマン問題のアルゴリズムを改良して, 先の巡回路の値以下のすべての巡回路を見つける.そして各巡回路に対して, 多品種流問題を用いてその巡回路での最大輸送量を求め, 巡回路の長さと輸送量を用いて, 列挙した巡回路からパレート解を見つける.今回は既存の多品種流問題のアルゴリズムが適応できないため, 有向閉路を対象にしたK品種に対するO (|K|2) の多品種流問題のアルゴリズムを開発した.計算実験の結果, 本2目的巡回セールスマン問題のアルゴリズムは効率的であることが明らかになった.本研究は定期船と同様の運行形態である巡回型バスのルーチングにも適用可能である. |
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ISSN: | 0919-3782 1884-6858 |
DOI: | 10.11285/logisticssociety1992.1993.27 |