剖検例における正常前立腺と肥大症の比較検討 重量および内腺の測定値について

高齢化がすすむにつれて, 排尿障害を訴え泌尿器科を受診する患者が年々増加傾向にあるが, そのなかには前立腺肥大症も多くみられる.泌尿器科以外の疾患で死亡した30歳から86歳までの剖検例90例について, 剖検時に前立腺を摘出し, 病理組織学的検索を行い, また前立腺の重量, 内腺の最大径の左右径, 前後径との相関関係を比較検討した.その結果, 組織学的に, 40歳代で肥大症が始まり, 50歳代では半数は肥大症を合併する傾向がみられ, 一方, 高齢になっても全く肥大症にならない症例もみられた.前立腺の全重量が20g以上で, 内腺の左右径, 前後径が2.0cm×1.5cmの場合, 肥大症である確率が...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 50; no. 3; pp. 315 - 321
Main Authors 斎藤, 豊彦, 簡, 亦淇, 杉山, 善彦, 今村, 一男, 安藤, 治憲, 簡野, 芳憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.06.1990
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.50.315

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Summary:高齢化がすすむにつれて, 排尿障害を訴え泌尿器科を受診する患者が年々増加傾向にあるが, そのなかには前立腺肥大症も多くみられる.泌尿器科以外の疾患で死亡した30歳から86歳までの剖検例90例について, 剖検時に前立腺を摘出し, 病理組織学的検索を行い, また前立腺の重量, 内腺の最大径の左右径, 前後径との相関関係を比較検討した.その結果, 組織学的に, 40歳代で肥大症が始まり, 50歳代では半数は肥大症を合併する傾向がみられ, 一方, 高齢になっても全く肥大症にならない症例もみられた.前立腺の全重量が20g以上で, 内腺の左右径, 前後径が2.0cm×1.5cmの場合, 肥大症である確率が高いことが示唆された.前立腺の左右径と前後径に相関関係がみられ, 特に肥大症群において強いこと, また重量と左右径および重量と前後径は, 正常前立腺群にはいずれも相関関係はないが, 肥大症群にはそれぞれ相関関係が存在した.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.50.315